研究課題
ゼニゴケにおいて、常染色体上のMpFGMYB遺伝子が雌性分化を促進する。MpFGMYB遺伝子座にはアンチセンス非コードRNA遺伝子SUFが存在し、雄個体ではSUFが発現することでMpFGMYBの発現が抑制され、雄分化が促進される。MpFGMYBの誘導型過剰発現体を用いたRNA-seq解析から、雌の性染色体(U染色体)上に座乗し、卵細胞とその前駆細胞で強く発現するMarchantia polymorpha Egg Maturation Factor on U Chromosome (MpEMU)遺伝子を同定した。MpEMUをゲノム編集により欠損させた複数のゼニゴケ変異体において、共通して卵前駆細胞に異常な分裂が起こり、成熟卵を形成しないことが明らかとなった。MpEMUの相同遺伝子は、苔類であるヒメツリガネゴケや、他のゼニゴケ植物のゲノムにも存在するが、コードするタンパク質のアミノ酸配列の保存性はごく限られた領域に限定されていた。ヒメツリガネゴケのゲノムには、MpEMUの相同遺伝子が1つだけ存在しており、これをPpEMUと名付けた。PpEMUはMpEMUと同様に雌性生殖器官で優勢に発現することが示唆された。そこでPpEMUをゲノム編集によりノックアウトし、複数の独立な変異体を得た。これらの変異体の表現型解析を進めることで、EMU遺伝子がコケ植物の雌性生殖器官や卵細胞の分化に果たす役割を明らかにできると考えられる。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Current Biology
巻: 34 ページ: 793~807.e7
10.1016/j.cub.2024.01.014
https://bsw3.naist.jp/nakajima/project/Sexual_reproduction.html