研究課題
CO2排出量の高い鉄鋼プロセスから生ずるスラグから合成可能なCaFe2O4とメタルフリー光触媒として注目を集めているg-C3N4の複合体により光触媒を合成し、複合化の方法や助触媒Ptの担持方法を工夫して可視光照射のもとで起こる有害有機物の分解や水素生成に応用し、窒化炭素単独の数倍の効率に向上させたことである。CaFe2O4とg-C3N4との複合体ではTEM像から両結晶の接合を直接観察し、スピン電子共鳴により・O2-が光触媒反応の主要ラジカルであること、2種の物質の接合界面を介してZスキーム機構により電子励起が起こっていることを明らかにした。ciprofloxacin および phenol光触媒反応において、二金属酸化物単独ではほとんど分解が起きないにもかかわらず、g-C3N4を複合化させると、g-C3N4単独よりも分解効率を促進した。類似試料として、CuCo2O4とg-C3N4との複合体も検討し、Pt担持方法として化学還元法、光化学還元法を比較した。後者ではg-C3N4単独より20%増のH2生成効率を示した。この裏付けとして、光化学還元法の方がEXAFS法に依るPt-Pt原子間距離が小さく、TEM観察によるPtナノ粒子サイズが小さいことを挙げている。TEMによる局所的な裏付けだけでなく、より広域情報としてのEXAFSによる裏付けを得たのは初めてである。光化学還元では、光触媒表面に吸着したPt (OH)2Cl42-が光触媒の電子励起が起きている表面で電子授受が行われるため、より強い結合で担持され、より細かいPt粒子が形成されて、高い光触媒効果を生んだものと考えられる。一方、NaBH4による化学還元では、バルク溶液でもPt (OH)2Cl42-の還元が起き、主触媒との接合しないPt(0)ができ、溶液内でクラスターも形成されやすく結果的に光触媒反応の高効率化にはつながらなかった。
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