研究実績の概要 |
レアメタルは現代の最新機器の重要な構成要素であるが、これらレアメタルの採掘可能な資源は限られている。本研究では、機械学習(ML)を用いて、金属抽出に適したイオン液体(IL)ならびに深共晶溶媒(DES)を予測し、さらにはそれぞれの分子の安全性(細胞毒性)も加味することで、レアメタルのリサイクルに最適な環境調和型抽出剤を創生することを目的とした。 本研究は、機械学習(ML)を用いた金属抽出用イオン液体(IL)の最適分子をシミュレーションし、その有用性を実証した。分類と回帰モデルは、それぞれ0.82の精度と0.76のR2値を達成し、優れた学習能力と予測に対する高い信頼性を示した。モデルは、ILの陽イオンと陰イオンの両方が金属選択性を決定する重要な要因であることを明らかにし、陽イオンの方が環境毒性レベルに大きく寄与していることを示した。MLモデルからの予測に基づき、実際の抽出性能の評価のために3種類のILを合成した。合成したILを含んだIL溶液を用いると、それぞれのILによって、Pt(IV)が約100%、Li(I)が約85%、Nd(III)が約80%抽出された。この研究は、重要な金属を抽出するためのILを設計するための新しい知見を与えるものである。 さらに、我々は抽出分野における環境調和型溶媒の開発に取り組むために、MLをILから深共晶溶媒へ拡張した。MLを量子化学と統合することで、深共晶溶媒(DES)の固液平衡(SLE)相図を推定する実用的なツールを開発した。DESは、近年注目される新しいタイプのグリーン溶媒であり、製造コストと合成の簡便さの点で、ILを凌ぐと考えられている。本研究の成果により、3,000種類の新たなDESのSLE相図を得ることができた。今後は、DXで得られたDESの金属分離性能を評価する予定である。
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