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2022 年度 実績報告書

プラズモニックナノ界面による高効率固体フォトンアップコンバージョンシステムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22F21330
配分区分補助金
研究機関九州大学

研究代表者

藤川 茂紀  九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 教授 (60333332)

研究分担者 HAN JIANLEI  九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2022-04-22 – 2024-03-31
キーワード光アップコンバージョン / 超分子集合 / キラリティ / 超分子重合 / ペリレンジイミド
研究実績の概要

本年度は、ペリレンジイミドを骨格とする色素化合物の合成とその物性研究を実施した。
(1) ホットバンド吸収型光アップコンバージョン(HBA-UC)
ペリレンジイミド化合物に635nmの赤色レーザーを照射すると、より短波長の黄色発光するUCプロセスであった。低濃度から高濃度までの濃度依存吸収・発光スペクトルを測定したところ、高濃度では自己吸収を除く会合体由来の光吸収は確認されなかったが、濃度依存NMRではペリレンコアのスタッキングと分子間Hバンドが見られた。しかし、635nmのレーザーで励起するとスペクトルは2つのピークを示し、540nmに発光ピークを持つ弱いUC発光と、670nm付近に強い発光ピークを示した。発光の光強度依存による実験から、発光とレーザー強度の間に直線的な比例関係を示した。これは単一光子吸収過程を意味する。温度依存性発光では、温度が上がると540nmのピークが強くなり、HBA-UC過程に相当し、670nmのピークは弱くなることが示された。
(2)ペリレンジイミド系化合物の超分子重合反応
ペリレンジイミド系化合物は貧溶媒中で超分子キラリティを有する凝集体の形成が観察された。この凝集体は強い円二色性(CD)を示したが、分子分散状態ではCDは検出されなかった。さらに、新たに調製したサンプルではナノ粒子が観察され、これらはナノヘリックス構造およびナノチューブ構造に進化することがわかった。螺旋構造は、新たに調製したナノ粒子と比較して、CDと発光が向上していることが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1)三重項消滅型アップコンバージョン(TTA-UC)に比べ、HBA-UCはあまり研究されておらず、HBA-UCを用いた例は非常に限られており、そのような分子を設計するためのルールさえも不明なままである。また、670nmの異常発光の起源は現時点では不明である。特にレーザー励起時では、この発光ピークが、通常のエキシマ発光と異なり、微細な構造を示している点も非常に興味深い。これらの結果はHBA-UCのメカニズムに新たな知見が得られるかもしれない。
(2) またこれら化合物から超分子ポリマーの形成が確認された。超分子重合プロセスの熱力学および動力学に関する研究により、これらのプロセスの制御に関する深い洞察が得られている。現時点では、集合初期時にみられるナノ粒子状態では運動論的に制御された捕捉状態にあると考えており、これが時間とともにナノヘリックスやナノチューブ構造へと変化することから、CDの起源はペリレンコアの励起子結合であり、CD増強は超分子キラリティに由来するものと考えられる。

今後の研究の推進方策

次年度は以下の方針に基づいて研究を進める。
(1) 670nmの異常発光の起源について検討する。エキシマー発光性も含まれるため、嵩高い置換基構造を持つ新しいペリレンジイミド化合物を設計・合成し、強いHBA UCを狙う。
(2) 観察された超分子重合プロセスを研究するために、温度および濃度依存性UV/vis吸収スペクトル測定をが実施する。ナノ構造体の強いCDと発光のため、円偏光ルミネッセンス(CPL)が検討し、構造・物性の相関を調査するため、新しい分子構造の設計と合成を行う。

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公開日: 2023-12-25  

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