• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

MXene-MOF 複合体を基盤とする磁性ナノザイムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22F32027
配分区分補助金
研究機関九州大学

研究代表者

大場 正昭  九州大学, 理学研究院, 教授 (00284480)

研究分担者 BORUAH PURNA KANTA  九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2022-07-27 – 2024-03-31
キーワードMXene / 配位高分子 / 多核クラスター錯体 / 酵素複合体
研究実績の概要

本研究では、マイクロ流路センシングデバイスとして応用を目指して、複合原子層化合物であるマキシン(MXene)と配位高分子(MOF)を用いた新規ナノ複合体(MXene-MOF)を開発する。磁気、発光および電気化学的性質を有するMXene-MOF複合体にペルオキシダーゼ等の酵素を吸着させ、ナノザイムとしての活性能および食品毒の検出能を評価する。更にナノザイムのマイクロ流路デバイスへ組込みを検討する。
本年度は、(1)MXeneの合成、(2)MXeneとMOFまたは多核クラスター錯体分子(MOP)からなる複合ナノシートの合成、の2項目を中心に進めた。
(1)では、TiCまたはTiNベースのMXeneを合成し、複合化のために単層化ならびにMXene表面へのスルホニル基の導入を進めた。SEM-EDXなどの測定のより、均質な表面修飾MXeneの作製を確認した。
(2)では、表面修飾したMXene上でのMOFの直接合成により複合体を得ることに成功したが、組成の均質性および合成の再現性に問題があった。そこで、MOF類似構造を有するMOPを用いて複合化を行うと、MXene-MOP複合体が再現性良く合成できた。SEM-EDXなどの測定より、均質な複合体の形成が確認された。吸着測定により空隙構造を評価すると、MXene 単層膜では窒素が吸着されないが、MXene-MOP複合体では低圧で高い吸着能を示したことから、MOPがMXene膜間に挿入され、細孔構造が形成されていることが示唆された。また、並行して二酸化炭素の光還元能を有するMOPの開発、並びにMOPとイオン性分子や酵素との複合化を進め、MXene-MOP複合体の更なる機能化・複合化の展開を検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定通り表面修飾したMXene膜の合成と金属錯体との複合化に成功した。配位高分子(MOF)よりもクラスター錯体(MOP)の方が、簡便に均質な複合体を形成し、多孔性を有する複合体を与えることを見出した点は、想定以上の成果と言える。複合体 MXene-MOP と酵素との複合体の合成にも着手しており、現在条件の最適化を検討している。また、MOP自体に触媒能を付与できることから、MXene-MOPの高機能材料として展開も視野に入ってきた。

今後の研究の推進方策

今年度の成果より、孤立分子であるMOPの方が無限構造を有するMOFよりも均質な複合体を簡便に合成できることを見出した。今後はこのMXene-MOP複合体を中心に研究を進める。MXene-MOPの酵素との複合化と並行して、Mxene-MOPの二酸化炭素還元の光触媒能評価を進める。電気化学能を評価し、求めるポテンシャルを得るためのMXeneとMOPの組成を検討し、最適化する。
酵素との複合化に関しては、具体的にはペルオキシダーゼをMXene-MOP複合体に吸着させ、基質の酸化による着色反応を利用して活性を評価する。さらに、食中毒物質のOHラジカルの消費に着目して、食品毒物の検出への応用を検討する。Mxene-MOP複合体単独でもこれらの活性について評価し、酵素様活性の実現についても検討する。
マイクロ流体センシングデバイスへの応用については、インクジェット印刷やスクリーン印刷による紙ベースのデバイスを作製する。比色法や電気化学的な検出のために、最適な比色試薬やインクに含める導電性物質を検討する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] University Paris-Saclay(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      University Paris-Saclay
  • [学会発表] Charge-driven Assembly of Water-soluble Ionic Metal-Organic Polyhedra with Enzymes2023

    • 著者名/発表者名
      Benjamin Le Ouay、Ryosuke Minami、Purna Kanta Boruah、Masaaki Ohba
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
  • [備考] 錯体物性化学研究室研究業績

    • URL

      http://www.scc.kyushu-u.ac.jp/Sakutaibussei/page03-1.html

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi