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2022 年度 実績報告書

革新的な複合材料による福島第一原子力発電所廃水からの放射性セシウム除去

研究課題

研究課題/領域番号 22F22352
配分区分補助金
研究機関九州大学

研究代表者

久場 隆広  九州大学, 工学研究院, 教授 (60284527)

研究分担者 KHANDAKER SHAHJALAL  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2022-11-16 – 2025-03-31
キーワードセシウム / 化学賦活 / プラズマ処理 / 熱アルカリ処理 / 炭化物 / 汚泥溶融スラグ / LDH / 吸着
研究実績の概要

本研究では、竹炭や木炭といった炭化物や汚泥溶融スラグ、さらには、プルシアンブルーなどを複合化した高効率で、低価格、環境に優しい複合吸着剤を開発し、実験室規模でその吸着能力や吸着メカニズムの解明を行うとともに、特異的セシウム吸着能の向上のための賦活化法の検証を行う。革新的な複合材料による福島第一原子力発電所廃水および水環境中からの放射性セシウム除去を目指している。
初年度は、当研究グループの過去のデータを精査し、また、文献調査を中心に、竹炭や木炭の炭化条件を検討した。硝酸熱水処理やプラズマ処理による賦活化法を検討し、Cs除去率との関係を明らかにした。また、汚泥溶融スラグまたは合成ゼオライト、層状複水酸化物 (Layered Double Hydroxide: LDH) とプルシアンブルーなどを複合化した吸着剤についても検討を進めた。
さらに、高圧用反応分解容器内での汚泥溶融スラグの熱アルカリ処理条件を明らかにし、Cs吸着能およびCs選択性とその処理条件との関係を実験的に明らかにした。国内5カ所の汚泥溶融スラグについて実験的に検討し、また、スラグ上に形成されたゼオライト種の同定にはX線回折法 (XRD) および蛍光X線分析装置 (XRF) を用いた。結論としては、珪藻土と比較し、汚泥溶融スラグでは純度が低く、ケイ素の含有率が低いことから、Cs吸着能を高めることは出来ても、ゼオライトの一種であるモルデナイトといったCs選択性の高い成分をスラグ上に合成することが難しいことが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究『革新的な複合材料による福島第一原子力発電所廃水からの放射性セシウム除去』の研究期間は3年間である。その当初の研究目的は、竹炭や木炭といった炭化物や汚泥溶融スラグ、さらには、プルシアンブルーなどを複合化した高効率で、低価格、環境に優しい複合吸着剤を開発し、実験室規模でその吸着能力や吸着メカニズムの解明を行うとともに、特異的セシウム吸着能の向上のための賦活化法の検証を行うことである。第1年度において、以下の成果が得られた。おおむね順調に進展している。
文献調査や当研究グループでの過去の成果から、竹炭や木炭の炭化条件、さらに、硝酸熱水処理やプラズマ処理による賦活化法があり、Cs除去率と処理の関係を整理できた。また、汚泥溶融スラグまたは合成ゼオライト、層状複水酸化物 (Layered Double Hydroxide: LDH) とプルシアンブルーなどを複合化した新規吸着剤のCs吸着能を議論した。
さらに、高圧用反応分解容器内での汚泥溶融スラグの熱アルカリ処理条件を明らかにし、Cs吸着能およびCs選択性とその処理条件との関係を実験的に明らかにした。結論としては、珪藻土と比較し、汚泥溶融スラグでは純度が低く、ケイ素の含有率が低いことから、Cs吸着能を高めることは出来ても、ゼオライトの一種であるモルデナイトといったCs選択性の高い成分をスラグ上に合成することが難しいことが分かった。

今後の研究の推進方策

本研究『革新的な複合材料による福島第一原子力発電所廃水からの放射性セシウム除去』の研究期間は3年間である。その当初の研究目的は、竹炭や木炭といった炭化物や汚泥溶融スラグ、さらには、プルシアンブルーなどを複合化した高効率で、低価格、環境に優しい複合吸着剤を開発し、実験室規模でその吸着能力や吸着メカニズムの解明を行うとともに、特異的セシウム吸着能の向上のための賦活化法の検証を行うことである。第1年度において得られた成果を基に、以下の様に、今後、研究を推進する。
竹炭や木炭の炭化条件のさらなる検証を実験的に行い、さらに、硝酸熱水処理やプラズマ処理による賦活化法を適用し、Cs除去率の向上を目指す。また、汚泥溶融スラグまたは合成ゼオライト、層状複水酸化物 (Layered Double Hydroxide: LDH) とプルシアンブルーなどを複合化した新規吸着剤を合成し、実験的にCs吸着能を評価する。さらに、様々なイオンの存在するろ過海水中でCsが特異的に吸着され得るか、Cs選択性について実験的に検証する。
さらに、珪藻土と比較し、汚泥溶融スラグでは純度が低く、ケイ素の含有率が低いことから、Cs吸着能を高めることは出来ても、ゼオライトの一種であるモルデナイトといったCs選択性の高い成分をスラグ上に合成することが難しいことが明らかになった。ケイ素やアルミニウムから形成される珪藻土とは異なり、汚泥溶融スラグ中にはCaやFe、Pなどが含まれており、ケイ素やアルミニウムの純度が相対的に低い。CaやFe、Pなどがモルデナイトの合成を阻害している可能性があることから、その点について実験的に検証する。また、発泡廃ガラスといったケイ素源を添加することで、モルデナイトの合成が促進されないかなどを実験的に検討する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [国際共同研究] ダッカ工科大学(バングラデシュ)

    • 国名
      バングラデシュ
    • 外国機関名
      ダッカ工科大学
  • [雑誌論文] Simultaneous toxic Cd(II) and Pb(II) encapsulation from contaminated water using Mg/Al-LDH composite materials2023

    • 著者名/発表者名
      Md.TofazzalHossain, ShahjalalKhandaker, M Mahbubul Bashar, Aminul Islam, Minhaz Ahmed, Rabeya Akter, Abdulmohsen K.D. Alsukaibi, Md. Munjur Hasan, Hamed M. Alshammari, TakahiroKuba, Md. RabiulAwualhj
    • 雑誌名

      Journal of Molecular Liquids

      巻: 368 ページ: 120810-120822

    • DOI

      10.1016/j.molliq.2022.120810

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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