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2021 年度 実績報告書

草間彌生の文学と美術の関係性

研究課題

研究課題/領域番号 21F21306
配分区分補助金
研究機関多摩美術大学

研究代表者

建畠 晢  多摩美術大学, その他, 学長 (50125217)

研究分担者 PACHCIAREK PAWEL  多摩美術大学, その他, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2021-09-28 – 2024-03-31
キーワード草間彌生 / クリストファー男娼窟 / ナルシスの庭 / 草間彌生の文学
研究実績の概要

今年度の主な業績としては大阪大学大学院文学研究科『待兼山論叢』第55号文学篇(2021年)に草間の美術と文学の関係を論じるために、 草間の創作活動全体を代表するものとして《ナルシスの庭》のモチーフを選んで、彼女の『クリストファー男娼窟』小説との比較分析を行った結果として『草間彌生の美術と文学における「ナルシス」のモチーフ』論文を掲載した。
また、金沢大学の井出明准教授と“Information ethics of smartphone games: The example of Pokemon Go”共同論文を執筆した(JPJSBP 20185411・JSPS 20H01220)。当論文はSpringer(シュプリンガー)出版により2022年に発行される予定である。
2021年11月28日にクラクフ(ポーランド)日本美術技術博物館“マンガ”館で草間彌生の美術と文学についてオンラインレクチャーを行った。
2022年5月18日に京都市立芸術大学の加須屋明子教授が担当している「美学芸術学概論」の授業で草間彌生の美術と文学について招待講演をした。
加須屋科研公開国際ワークショップ(オンライン)※本研究はJSPS科研費 20H01220の助成を受けたもの。 基盤研究(B)「芸術と社会-「表現の自由」と倫理の相剋 歴史修正主義を超えて」 2020~2024年度 研究代表者:加須屋明子(京都市立芸術大学)、2022年2月13日に「表現の自由をめぐって~インガルデン哲学と現代美術の視点から~」で開催されたワークショップに発表者と通訳者として参加した。
2021年9月1日~19日に京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAに開催された『LOST IN TRANSLATION』展をキュレーションした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度の目的通り、パフォーマンスと小説の比較については、前者に関しては、同時代の目撃者であり、受入研究者の建畠晢教授の助言のもと、草間スタジオほかの関連資料を分析してきた。小説については、特に草間が偏愛した泉鏡花作品の比較と転用について、調査を行い始めた。これら2つの調査によって以下の4点を解明する途中である。 1. ハプニングの社会批判性により、草間の従前の小説が変容し、帰国後の草間が社会関与の作家となったこと。2. 帰国後、支持を得られなかったハプニングなどのパフォーマンス活動が、文学や詩に継承されたこと。3. パフォーマンスも小説も、アメリカでのフェミニズムなどの革命的(芸術)運動を契機としており、「革命」が基調となっていること。4. アメリカで「禅」などの東洋思想を再発見し、草間の文学/美術の基礎となったこと。
また、研究にあたっての、とりわけフェミニズムとクイア理論関連の必須な資料も数多く収集している。

今後の研究の推進方策

【2022年度】2022年度の目的であるNY時代のパフォーマンス活動の検証については、すでに関係者の内諾を得ており、現地調査の準備は整っている。ドナルド・ジャッド・スタジオ、アンディ・ウォーホル美術館などで関係者を取材し、ホイットニー美術館、グッゲンハイム美術館のアーカイブで関係資料を調査する。NY在住の草間研究者やパフォーマンスの専門家にインタビューを行い、意見交換を行う。これによって以下の4点を明らかにできるはずである。1. 草間の活動と他の芸術家(ウォーホルやジャッド)やグループとのつながり、そしてその相関をふまえた草間の位置づけ。2. オリエンタリズムや東洋思想への憧憬が、時に華厳経とも比較される無限の網やミラールームの着想の一つとなったこと。3. 草間のハプニングや小説に影響を与えた具体的なフェミニズム運動の同定とその転用。4. アメリカで好評だった草間のパフォーマンスが、日本では受け入れられなかった経緯と文脈の解明。
【2023年度】2023年度の目的であるテクストとイメージの相関についてのモデル化については、主に美学関連の研究文献の購入と購読が中心となる。ホラティウスの『詩論』に始まる詩と絵の関係についての研究を整理し、草間における姉妹芸術のあり方を理論的かつ歴史的に位置づける。これによって以下の2点の解明を試みる。1. 草間の文学と美術を比較し分析する方法論的基盤の提示。2. 草間の方法をモデル化し、文学と美術の比較研究を拡大する学術的に有効な方法の提案。
共同研究の成果として、草間文学を主題とする単著、文学と美術の関係を主題とする建畠教授との共著を出版する。また草間作品に関する国際シンポジウムと共同連続講義を開催する。その他、草間小説のポーランド語翻訳、将来的に計画している日本人作家の展覧会や日本現代美術を扱う著作の準備を含め、国内外で成果の還元に努める。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] 『草間彌生の美術と文学における「ナルシス」のモチーフ』2021

    • 著者名/発表者名
      PACHCIAREK Pawel
    • 雑誌名

      『待兼山論叢』

      巻: 第55号文学篇 ページ: 71-86

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 「高度情報化社会における検閲の変容 アウシュビッツと原爆ドームおけるモバイルゲームを手がかりに」2022

    • 著者名/発表者名
      井出 明(金沢大学)、 PACHCIAREK Pawel(多摩美術大学)
    • 学会等名
      加須屋科研公開国際ワークショップvol.2(オンライン)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 「草間彌生をめぐって」2021

    • 著者名/発表者名
      PACHCIAREK Pawel
    • 学会等名
      Manggha Matsuri 2021: クラクフ(ポーランド)日本美術技術博物館“マンガ”館
    • 招待講演
  • [学会・シンポジウム開催] 国際研究集会名Name of the International Workshop 加須屋科研公開国際ワークショップ(オンライン) 「表現の自由をめぐって~インガルデン哲学と現代美術の視点から~」2021

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公開日: 2022-12-28   更新日: 2023-08-01  

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