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2022 年度 実績報告書

新規抗菌天然物MM249-143F7物質の触媒的不斉全合成

研究課題

研究課題/領域番号 22F21415
配分区分補助金
研究機関公益財団法人微生物化学研究会

研究代表者

渡辺 匠  公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 部長 (80270544)

研究分担者 SAMANTA SADHANENDU  公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2022-04-22 – 2024-03-31
キーワード天然物 / 全合成 / 触媒的不斉反応
研究実績の概要

本研究は全く新しい作用機序でグラム陰性菌に対し抗菌活性を発現する天然物・MM249物質(MM249-143F7物質から呼称変更)に関し,創薬展開に必須となる構造活性相関研究に応用可能な効率的全合成法の確立を目的とした.当年度は,潜在的にその類縁体合成経路に組み込まれる可能性のある新規触媒的不斉反応の開発をおこなった。
環状エノン類に対しα,β-不飽和エステルの一種であるγ-ブテノライドを付加させる反応は,入手容易な2種類の基質から単一の工程で大幅に複雑度の増した生成物を与える有用性の高い炭素環結合形成反応である.これを触媒的不斉反応とし,相対および絶対配置を制御することができれば,その有用性はさらに高いものとなる.受け入れ研究者は銅触媒を用いた同反応系を開発し,2020年にChem. Sci.誌上で発表した.さらに2022年にはより置換基の多い困難な基質に対し一般性を拡大した成果をAngew. Chem. Int. Ed.誌上で公開した.
この手法の数少ない欠点として触媒系調製の煩雑さがあり,これを克服すべく所属の研究室で開発された調製容易なALBを用いることで,2位に置換基をもたないクロマノン類を受容体とした反応をおこなったところ,syn選択的に付加体を得た.15種の基質の組み合わせを検討し,そのジアステレオ選択性は5から15:1,鏡像体過剰率は最大で98%を達成した.これはTrostらによる亜鉛触媒を用いた系と遜色のない選択性である.手法の簡便さと一般性が評価され,J. Org. Chem.誌に論文が採択された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全合成経路そのものから,当該合成に対し将来的に適用可能な触媒的不斉反応の開発をおこない,研究開始から約半年ですでに論文1報が採択されていることを理由とする.

今後の研究の推進方策

1年目の触媒的不斉反応の開発が順調に進行したので,別の種類の反応の開発に既に着手している.本反応も将来的にはMM249物質関連の有機化学的研究に対する適応を視野に入れている.既に論文化が見通せる成果を挙げているので早期にこれをまとめ,助成期間内で3報以上の論文発表を目指し,具体的にはアルキルニトリル類の触媒的不斉共役付加反応を中心に検討を進める予定である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Asymmetric Syn-Selective Vinylogous Addition of Butenolides to Chromones via Al-Li-BINOL Catalysis2023

    • 著者名/発表者名
      Sadhanendu Samanta, Jin Cui, Hidetoshi Noda, Takumi Watanabe, Masakatsu Shibasaki
    • 雑誌名

      J. Org. Chem.

      巻: 88 ページ: 1177-1184

    • DOI

      10.1021/acs.joc.2c02731

    • 査読あり
  • [学会発表] Asymmetric syn-selective vinylogous addition of butenolides to chromones catalyzed by ALB2023

    • 著者名/発表者名
      Sadhanendu Samanta, Jin Cui, Hidetoshi Noda, Takumi Watanabe, Masakatsu Shibasaki
    • 学会等名
      日本薬学会143年会
  • [備考] IMC 微生物化学研究所

    • URL

      https://www.bikaken.or.jp/

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公開日: 2023-12-25  

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