研究課題
炭素の還元化学を利用してグラフェニドを合成し、層状複水酸化物(LDH)ナノシートとのヘテロ構造を形成するとともに、他のナノカーボン(還元酸化グラフェン(rGO)、フラーレン(C60)、カーボンナノチューブ等)との複合化する実験を行った。その中で、アルカリ金属による炭素還元反応プロセスの最適化を行い、非官能化炭素の還元により負電荷を導入し、酸化グラフェンに比べ、より高い導電性を有するグラフェニドが得られることを明らかにした。反対電荷を持つ2種類のナノシート、すなわちLDHナノシートとグラフェニドを混合することによって、凝集させることに成功した。異なる金属組成の層状複水酸化物(Ni-Fe LDH、Co-Fe LDH等)を単層剥離し、ナノシートを合成した。静電的自己組織化プロセスにより、正に帯電したLDHナノシートと負に帯電したグラフェン類ナノカーボンを分子レベルで複合化を行い、ヘテロ構造を作製した。その中で、Co-Fe LDH/グラフェニドは酸素発生反応(OER)触媒として、10 mA/cm2 の電流密度における過電圧が約280 mV となり、Co-Fe LDH/rGOの312 mVより小さく抑えられ、最高の触媒活性を示すことが分かった。インピーダンス測定結果から、LDH/グラフェニドヘテロ構造が最も低いインピーダンスを示し、OER反応においてrGOのかわりにグラフェニドの利用は電気伝導性向上に有利に働き、優れた電極触媒性能につながったと言える。また、ホール測定によって、Co-Fe LDH/グラフェニドヘテロ構造におけるインピーダンスの低下は、rGOとグラフェニドの電気伝導率の違いに起因していると結論付けた。
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Applied Catalysis B: Environmental
巻: 343 ページ: 123520~123520
10.1016/j.apcatb.2023.123520