研究課題/領域番号 |
22F21044
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
大矢根 綾子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (50356672)
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研究分担者 |
PAL ANIRUDDHA 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | リン酸カルシウム / アパタイト / コーティング / 骨組織再生 / コラーゲン / 複合層 / フッ素 / 塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF) |
研究実績の概要 |
本研究では、in vivo組織再生の促進に有効なサイトカインを内包・安定化し、体液環境下で適切な濃度で徐放するサイトカイン徐放性足場材の構築を目指している。令和4年度は、サイトカインを担持・安定化し、体液環境下での徐放を促すキャリアとして、生体親和性に優れたバイオミネラルであるアパタイト(無機キャリア)、ならびに有機分子の自己組織化によって形成される有機ナノチューブ(有機キャリア)について評価検討を進めた。具体的には、サイトカインとして塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を用い、上記の有機キャリア・無機キャリアへのbFGFの担持と無血清培養液中でのbFGF徐放挙動について、それぞれ検討を進めた。 有機キャリアについては、複数の有機ナノチューブを作製し、内径や内面官能基の制御によるbFGFの担持・徐放化について検討したものの、有望なキャリアの構築には至らなかった。 無機キャリアについては、bFGFを担持したフッ素含有アパタイト層(以後、複合層)を構築し、同複合層のフッ素含有量が、bFGF担持量およびbFGF徐放挙動に与える影響について評価した。その結果、複合層のフッ素含有量の増加に伴い、同複合層からのbFGF徐放速度・徐放量が低下する傾向を見出した。得られた結果から、組織再生促進効果の期待されるbFGF徐放挙動を示す複合層作製条件の絞り込みを行った。 以上の研究に平行して、次年度(令和5年度)に計画している機能評価(共同研究先である北海道大学(歯)にて実施予定)に向けた準備を進め、予備実験により、用いる足場材の形態・量、評価系などを決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に沿って研究を進めた。有機キャリアについては有望なキャリアの構築には至らなかったものの、無機キャリアについては、組織再生促進効果の期待されるbFGF徐放挙動を示すフッ素含有アパタイト層の作製条件を見出した。また、予備実験を通じて、次年度に行う機能評価に向けて準備を整えることができた。以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究で得られた結果に基づき、検討対象を無機キャリアに絞り、サイトカイン徐放性足場材の合成と評価を進めていく。具体的には、前年度に行った予備検討の結果から選定される条件下、足場材として、異なるbFGF徐放挙動を示すbFGF担持フッ素含有アパタイト層を成膜したコラーゲンスポンジを作製し、その機能評価を進めていく。実験動物によるin vivo機能評価については、共同研究先である北海道大学大学院歯学研究院にて実施する。以上の結果をまとめ、in vivo骨組織再生の促進に有効なサイトカイン徐放性足場材の設計・構築指針を明らかにする。
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