研究課題
製造分野では、近年のセンサ技術の小型化や高精度化、工作機械の知能化に伴い、工場から実時間で得られるデータはその種類、質、量に関して飛躍的に向上・増加している。そして、これらのデータと人工知能技術などを統合的に用いた生産性の向上が目指されている。本研究では、工作機械の状態を定期的にモニタリングすることで得られるデータを活用した工作機械の異常検知手法と可視化手法を研究した。本研究では、Graphical Knowledge Unit(GKU)と呼ばれる、一定の測定数(数万~)を持つ定量的データを、その統計的な情報をできるだけ失うことなく、その記録過程で動的に2次元画像に圧縮する技術に注目し、この技術を用いて、切削加工用工作機械の主軸の先端に取り付ける工具の劣化を検知できることを確認した。この技術は、測定間の時間的関係を考慮しない手法であり、GKUのみでは時間の経過により発展する劣化などの減少を扱うことができない。このため、本研究では、1つのGKUの入力となる測定データの選び方や、複数のGKUの入出力の関連性を考慮した。本研究の成果として、国際誌の査読付き論文を1報執筆し、国際会議(スリランカ)および国内の会議(日本)において口頭発表を行った。本研究期間では扱われなかったが、工具の劣化以外にも、切削加工時の機械の振動や機械を構成する個別設備の挙動の変化など、取得データに影響を与える現象がある。これらの現象の識別などに対してGKUの適用が妥当であるかどうかは、今後の研究課題である。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Proceedings of 2023 International Research Conference on Smart Computing and Systems Engineering (SCSE)
巻: 1 ページ: 1-8
10.1109/SCSE59836.2023.10215035