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2021 年度 実績報告書

日本語学習者によるパラ言語情報伝達のメカニズム解明と指導法への応用

研究課題

研究課題/領域番号 21F21305
配分区分補助金
研究機関株式会社国際電気通信基礎技術研究所

研究代表者

石井 カルロス寿憲  株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 石黒浩特別研究所, グループリーダー (30418529)

研究分担者 LI XINYUE  株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 石黒浩特別研究所, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2021-09-28 – 2024-03-31
キーワード第二言語習得 / 声質 / 音響分析 / 自然会話 / 音声コミュニケーション / フィラー / パラ言語情報 / 態度発話
研究実績の概要

本研究では,中国語を母語とする日本語学習者による日本語自然会話データ中に見られるフィラーの母音の音響的特徴について検討し,日本語母語話者によるデータと比較を行なった。また,自然会話におけるフィラーの母音と通常単語中の母音の差異についても検討した。その結果,duration, F0mean, intensity, spectral tilt-related indices, jitter and shimmerに関して,日本語母語話者と中国人日本語学習者の間,フィラーの母音と通常単語中の母音の間に顕著な差が観察された。さらに, 機械学習の手法random forestを用いた分析を行なったところ,フィラーの母音か,通常単語の母音かの分類にはduration と intensityが最も重要な手掛かりとなっており,声質的特徴もその次に貢献しているという結果が得られた。
また,日本語母語話者による日本語態度音声と,外国人日本語学習者による日本語態度発話が態度および発話者群によってどのように変化するのかについて検討した。その結果,日本語母語話者と外国人学習者による態度発話のF0曲線は異なるパ ターンが多数観察された。特に中国人学習者による発話ではF0が激しく変化することが特徴的であり,F0上昇と下降のタイミングも日本語母語話者と大幅に異なっていた。声質分析を行なった結果,中国人学習者による「友好」「丁寧」発話は日本語母語話者と異なり,声帯が緊張した発声に近く,非周期性が強いことが示唆された。
本研究で得られた成果を1件の国際学会に採択され,2件の国内学会で発表した。また,第35回日本音声学会全国大会の優秀発表賞を受賞した。今後は論文執筆を進め,国内外のジャーナルに投稿する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上述で示したように,日本語母語話者と外国人日本語学習者による自然会話およびシナリオ付きの態度音声を収録し音響分析を行なうことができた。また,新型コロナウィルス感染症の影響を受け,より大規模の中級レベルの外国人日本語学習者による発話の収録を実施できなかったものの,まずN1に合格している上級レベルの日本語学習者を集め,収録実験を遂行することができ,有意義な実験結果が得られた。今後は引き続き中級レベルの外国人日本語学習者を募集し,データをより充実させる予定である。

今後の研究の推進方策

今後は,以下のように研究を進める予定である。
(1)2021年9月から2022年3月まで得られた研究成果を国内外の学会で発表し,その内容を論文にまとめ投稿する。
(2)日本語母語話者および外国人日本語学習者による自然会話について,これまでは発話の非流暢性に注目し,フィラーなどを対象に分析を行なったが,自然会話におけるパラ言語情報を抽出し,母語話者と第二言語学習者の相違を検討する。
(3)シナリオ付きの感情・態度音声実験について,発話者の人数と国籍をより豊かにさせ,より充実したデータを集める。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 日本語自然会話におけるフィラーの音響分析-日本語母語話者および中国語を母語とする日本語学習者を対象に-2022

    • 著者名/発表者名
      LI XINYUE, 石井 カルロス寿憲, 林 良子
    • 雑誌名

      日本音響学会音声研究会資料

      巻: 2 ページ: 27-30

  • [雑誌論文] 中国語を母語とする日本語学習者による態度音声の音声分析:F0曲線と声質に焦点をあてて2021

    • 著者名/発表者名
      LI XINYUE, 石井 カルロス寿憲, 林 良子
    • 雑誌名

      第35回日本音声学会全国大会予稿集

      巻: 1 ページ: 50-55

  • [学会発表] 中国語を母語とする日本語学習者による態度音声の音声分析:F0曲線と声質に焦点をあてて2021

    • 著者名/発表者名
      LI XINYUE, 石井 カルロス寿憲, 林 良子
    • 学会等名
      第35回日本音声学会全国大会
  • [学会発表] 日本語自然会話におけるフィラーの音響分析-日本語母語話者および中国語を母語とする日本語学習者を対象に-2021

    • 著者名/発表者名
      LI XINYUE, 石井 カルロス寿憲, 林 良子
    • 学会等名
      日本音響学会音声研究会

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公開日: 2022-12-28   更新日: 2023-08-01  

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