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2021 年度 実績報告書

視床下部MCH神経による末梢組織でのエネルギー消費・熱産生の制御メカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 21J01046
配分区分補助金
研究機関北海道大学

研究代表者

伊澤 俊太郎  北海道大学, 獣医学研究院, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2021-04-28 – 2026-03-31
キーワードMCH神経 / 褐色脂肪組織
研究実績の概要

メラニン凝集ホルモン(MCH)は視床下部の一部の神経細胞が合成・放出をする。2021年度はMCHペプチドを合成するMCH神経がどのような神経メカニズムでエネルギー消費を制御するか、MCH神経をジフテリア毒素によって後天的に脱落するモデルマウスを用いた検証を行った。
MCH神経脱落マウスは体重の低下を示し、酸素消費量の増大を示す一方で摂食量には変化がなかった。組織重量の低下は脂肪組織に特異的で、肝臓や骨格筋といった組織重量には変化がなかった。特に褐色脂肪組織については、重量の低下だけではなく赤みを帯びて活発化している様相が示された。そこで、褐色脂肪組織において熱産生の標識となるタンパク発現量について検証をしたところ、UCP1とCOX4の発現が有意に上昇していた。また交感神経活動の指標となるTHについても褐色脂肪組織中で上昇していることが示された。前述の、MCH神経脱落に伴う酸素消費量の増加は行動量で補正した場合においても有意に高まっており、行動量に依存しないエネルギー消費の上昇が、褐色脂肪組織活性の上昇に伴い生じていることが分かった。
これまでの申請者の研究で、交感神経プレモーターニューロンが存在する延髄縫線核がMCH神経の投射を受けていること、さらに、MCH神経脱落に伴い延髄縫線核では神経活動の指標であるcFos陽性の細胞数が増加することが示されている。
これらの結果を論文としてまとめ、本年度のThe Journal of Physiology誌に受理・掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

交感神経活動の指標となるTH発現量を褐色脂肪組織で検証するにあたり、組織切片の作成とTH染色の経験を持つ研究者からプロトコルを共有してもらえたことで、条件検討の必要なく一度の実験で目的とするデータを得られたため。

今後の研究の推進方策

MCH神経はMCHペプチドに加え、Nesfatin-1やグルタミン酸など多様な神経伝達物質を含有・放出している。今後はMCH神経がエネルギー恒常性維持に機能する上で、いずれの物質が機能しているのか検証を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Melanin‐concentrating hormone‐producing neurons in the hypothalamus regulate brown adipose tissue and thus contribute to energy expenditure2021

    • 著者名/発表者名
      Izawa Shuntaro、Yoneshiro Takeshi、Kondoh Kunio、Nakagiri Shohei、Okamatsu‐Ogura Yuko、Terao Akira、Minokoshi Yasuhiko、Yamanaka Akihiro、Kimura Kazuhiro
    • 雑誌名

      The Journal of Physiology

      巻: 600 ページ: 815~827

    • DOI

      10.1113/JP281241

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28   更新日: 2023-08-01  

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