研究課題/領域番号 |
22KJ0005
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊澤 俊太郎 北海道大学, 獣医学研究院, 特別研究員(CPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2026-03-31
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キーワード | 神経科学 / 視床下部 / 代謝 |
研究実績の概要 |
昨年度に続き、国際競争力強化研究員(CPD)の主要渡航期間としてドイツ国Max Planck Institute for Metabolism Researchに滞在し国外受入研究者であるJens Bruning教授と研究を実施した。本年度は計画に則ったMCH神経に関する研究だけでなく、ドイツ国内で他のグループとの共同研究にも参加する機会が複数あり、Jens Bruning教授以外のシニア研究者とも接点を持つことができた。国際競争力強化研究員制度の趣旨にある「海外の大学等研究機関で長期間研究に専念する機会」「若手研究者が海外の研究者とのネットワークを構築」の双方の面で研究を進展できたと考えている。本プロジェクトでは視床下部MCH神経による代謝調節メカニズムとして「延髄縫線核への投射による褐色脂肪組織の活動制御」を2022年に報告しており、本年度はこれに加えてMCH神経が含有する血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor: VEGF)の機能について探索を進めた。MCH神経特異的なVFGFノックアウトによりインスリン抵抗性や血糖値に変化が生じることを見出している。 日本国内では2023年12月に国内受入研究者であった木村和弘教授が北海道大学を退職し、2024年1月より同大学同一研究室の岡松優子教授に国内受入研究者が変更となった。 研究発表としては、日本睡眠学会第45回定期学術集会シンポジウム(2023年9月)、CECAD Aging Conference 2024(2024年1月)での学会発表に加え、広島大学第425回生命科学セミナー・第4回行動科学セミナー(2023年9月)で本研究成果の一部を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の主対象であるMCH神経による代謝制御について、2022年に論文として報告している「延髄縫線核への投射による褐色脂肪組織の活動制御」に加えて、MCH神経が含有する分子という観点からも検証を進めVEGFを見出している。また、共同研究での進展があり代謝制御に加え睡眠や社会性行動と代謝の関連についても検証を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度もMax Planck Institute for Metabolism Researchでの研究継続を予定している。MCH神経は脳内神経回路から末梢交感神経への接続を介した代謝制御だけでなく、タニサイトへの投射とその透過性制御を通じたホルモン性の脳-末梢の連絡にも関与していると考えられ、そのメカニズムを検証する。また、MCH神経特異的なVEGFノックアウトについて、実験後に還流固定したマウス脳を用いたin situ hybridizationを行い特異的ノックアウトの組織学的確認を進める。
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