研究課題/領域番号 |
21J21219
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
和田 壮平 北海道大学, 理学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 宇宙化学 / 地球化学 / 初期太陽系 / コンドライト / 希ガス / 太陽風 / 質量分析 |
研究実績の概要 |
令和3年度は,まず,同位体ナノスコープによるヘリウムの広領域イオンイメージング法の新規開発を行った。同位体ナノスコープは,微小領域の超高空間分解能・超高感度分析が可能な質量分析計である。同位体ナノスコープによる広領域のイオンイメージングを実現するために,装置の改造を行った。レーザー光学系を改造,制御ソフトウェアを開発・実装し,ヘリウムを注入したシリコン基板を用いた基礎実験を行った結果,100 x 200 um四方のヘリウムイメージングに成功し,ヘリウムの広領域イメージング法の確立に成功した。以上の成果について,日本地球化学会2021年度年会で口頭発表を行った。次に,新規開発したヘリウムの広領域イメージング法を用いて,ガスリッチ隕石のヘリウムイメージングを行った。太陽風起源希ガスを豊富に含むガスリッチ隕石は,隕石母天体の表面に太陽風が照射したことを記録しているレゴリス角礫岩である。ガスリッチ隕石中の太陽風起源希ガスを含む鉱物粒子とその産状は,母天体上での太陽風捕獲過程と,その後の角礫岩化によるガーデニングの過程を反映していると考えられている。しかし,その産状は特定されていなかった。そこで,新規開発したヘリウムの広領域イメージング法を用いて,太陽風ヘリウムを含有するホスト鉱物の特定と,マトリクス中の太陽風ヘリウム分布を明らかにした。本成果について,2022年日本地球惑星科学連合大会で口頭発表を行うことが決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度の計画は,ヘリウムの広領域イメージングシステムの構築・手法の確立を前期までに終え,後期から隕石中の太陽起源ヘリウムの探索に着手することであった。分析法の新規開発については,光学系の改造,制御ソフトウェアの開発と実装,ヘリウム注入シリコン基板を用いた基礎実験を終え100 x 200 um四方のヘリウムイメージングに成功,ヘリウムの広領域イメージング法を確立した。なお,この成果は2021年秋の学会で発表した。その結果,当初の予定通り令和3年度後期に,ヘリウム広領域イメージング法による隕石中の太陽起源ヘリウムの探索に着手することができた。探索・解析の結果,隕石中で太陽風ヘリウムを含有する鉱物を特定し,隕石マトリクス中の太陽風ヘリウム分布を観察できた。以上の成果は,本研究が当初予定していた計画通り進展していることを示しており,進捗状況はおおむね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
隕石マトリクス中の太陽風ヘリウム分布は,隕石母天体表層でのガーデニングプロセスを反映している可能性がある。さらに分析と解析をすすめ,隕石母天体表層環境に関する新たな知見を得る。また,隕石中に存在する太陽風ヘリウムを含有する鉱物中の太陽風ヘリウム分布を調査し,当時の太陽風のエネルギーやフルエンスを推定し,過去の太陽活動の推定を目指す。
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