研究課題
本研究では、大規模斜面崩壊が発生した北海道厚真町を対象に、撹乱後の森林回復と残存林での森林管理を複合的にシミュレーションすることにより、風倒や斜面崩壊などの撹乱が増加する気候変動下で、生態系サービスの安定供給を実現するための包括的な森林管理を検討する。令和3年度は北海道胆振・日高地方の過去の表層崩壊地を対象として、冷温帯地域における表層崩壊後の炭素蓄積量・種組成の長期的変化について評価した。1947年、1981年、2003年、2018年に表層崩壊が発生した箇所を各5斜面、Referenceとして約100年以上撹乱を受けていない斜面を3斜面選定した。各斜面を滑落斜面上部(Initiation)、下部(Transport)、崩積土堆積部(Deposition)の3ゾーンに分け、それぞれで15×15mのプロットを設置し毎木、枯死木調査を行なった。また、0.25 × 0.25mコドラートをプロット内に4つ設置し、下層植生調査を行なった。さらに、堆積有機物層と表層の鉱質土層のサンプリングを行なった。解析の結果、生立木炭素蓄積は表層崩壊からの経過年数、斜面上の位置によって有意差が見られた。表層崩壊から74年経過後も炭素蓄積はReferenceのレベルまでは回復していなかった。生立木種組成は表層崩壊からの経過年数によって有意差が見られた。表層崩壊から74年経過後でもReferenceに比べて遷移後期種の優占率が小さかった。
2: おおむね順調に進展している
表層崩壊後の長期的な植生回復に関する野外調査を完了できたため。
土壌サンプルの元素分析を5月中に終了させる。野外調査結果については解析を進め、8月までには論文を投稿予定である。また、森林景観シミュレーションモデルでの表層崩壊後の植生回復再現に向けて、野外調査データを用いたモデルの調整・改良に取り組む。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Forest Ecology and Management
巻: 502 ページ: 119728
10.1016/j.foreco.2021.119728
北方林業
巻: 72(2) ページ: 74-77
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