研究課題/領域番号 |
22J10605
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石神 広太 北海道大学, 農学研究院, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
|
キーワード | 共生 / 微生物 / 昆虫 |
研究実績の概要 |
多くの動植物は微生物と共生関係を構築しており、その多くは相利共生であると考えられているが、微生物側の適応度を調べた例はほとんどない。そこで、我々はホソヘリカメムシ-Caballeronia共生系を対象に、微生物側の利益を明らかにし、共生系の維持機構を解明するべく研究を行っている。この共生系では宿主の親から子に共生細菌が直接受け渡されないため、Caballeronia共生細菌がこの共生系から利益を受け取るためには、何らかの形で土壌中に再度戻らなければならない。今年度の調査の結果、土壌の上に置いた死骸の表面にはカビが生えるが、そのカビの中でCunninghamellaを表面に接種した死骸からは、共生細菌がより短い日数で脱出でき、このカビが存在しないと共生細菌がカメムシの次世代へ伝播しないことが明らかとなってきた。。また、Caballeronia共生細菌はこのカビの菌糸上を移動することで、より速く分散できることが、カビと共生細菌の共培養実験から示された。このことからホソヘリカメムシ-Caballeronia共生系の進化的維持にCunninghamellaが重要であることが示された。今後は、Caballeronia共生細菌を助ける共生カビの多様性と特異性に調査を進める。本研究によって得られた成果について国内外の学会において発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホソヘリカメムシ-Caballeronia共生系の維持に重要なカビを発見することができ、カビの存在がこの共生系の進化的維持に重要であるということを明らかにした。また、共生細菌とカビの相互作用についてもヒッチハイキングという現象を発見していることから、本研究課題は全体としてはおおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の予定は、共生カビの多様性を解明である。死骸分解性のカビをさらに単離し、ホソヘリカメムシ-Caballeronia共生系の維持に重要なカビはどの程度存在しているのかを明らかにし、野外においてこの現象がどの程度見られるのかについて調査を行っていく。
|