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2023 年度 実績報告書

新たな三者共生系の解明:カビが決める昆虫とバクテリアの相利共生

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ0057
配分区分基金
研究機関北海道大学

研究代表者

石神 広太  北海道大学, 農学研究院, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワード相利共生 / ホソヘリカメムシ / Caballeronia / 共生細菌
研究実績の概要

地球上の多くの生物は微生物と共生関係を構築しており、その多くは相利共生であると考えられている。相利共生系の進化には両者の利益が非常に重要であるにもかかわらず、ほとんどの研究は宿主側の適応度にのみ重きを置いており微生物側の適応度を調べた例はほとんどない。そのため、我々はホソヘリカメムシ-Caballeronia共生系を用いて、微生物側が本当に利益得ているのかを明らかにし、共生系の維持機構を解明するべく研究を行っている。この共生系では宿主が毎世代環境中から共生細菌を獲得する(水平伝播)、Caballeronia共生細菌がこの共生系から利益を受け取るためには、何らかの形で土壌中に再度戻らなければならない。調査の結果、昨年度は、土壌の上に置いた死骸の表面にはカビが生えるが、そのカビの中でCunninghamellaを表面に接種した死骸からは、共生細菌がより短い日数で脱出でき、このカビが存在しないと共生細菌がカメムシの次世代へ伝播しないことが明らかとなってきた。また、Caballeronia共生細菌はこのカビの菌糸上を移動することで、より速く分散できることが明らかとなった。今年度は、カビは宿主の死骸を資源にすることで胞子の数が上昇していることが明らかとなった。加えて、宿主の死骸に物理的に傷をつけた場合にも次世代へと細菌が伝播したことから、カビは宿主の死骸に穴を開けることで共生細菌の伝播を助けていることが示唆された。これらの結果により、ホソヘリカメムシ-Caballeronia-カビの3者共生系は、3者それぞれが共生系から利益を得ていることが明らかとなった。また、CNRSの共同研究者とともに、カビとCaballeronia共生細菌のTn-seqを行うことで、カビと細菌間のヒッチハイキングにおける相互作用の解明を試みた結果、走化性などの運動に関連する遺伝子が細菌側にとって必須であった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [国際共同研究] CNRS(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      CNRS
  • [雑誌論文] Ingested soil bacteria breach gut epithelia and prime systemic immunity in an insect2024

    • 著者名/発表者名
      Jang Seonghan、Ishigami Kota、Mergaert Peter、Kikuchi Yoshitomo
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences

      巻: 121 ページ: -

    • DOI

      10.1073/pnas.2315540121

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Hundreds of antimicrobial peptides create a selective barrier for insect gut symbionts2023

    • 著者名/発表者名
      Lachat Joy、Lextrait Gaelle、Jouan Romain、Boukherissa Amira、Yokota Aya、Jang Seonghan、Ishigami Kota、Futahashi Ryo、Cossard Raynald、Naquin Delphine、Costache Vlad、Augusto Luis、Tissieres Pierre、Biondi Emanuele G.、Alunni Benoit、Timchenko Tatiana、Ohbayashi Tsubasa、Kikuchi Yoshitomo、Mergaert Peter
    • 雑誌名

      bioRxiv

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1101/2023.10.16.562546

    • 国際共著
  • [学会発表] 昆虫-微生物共生系におけるトロイの木馬戦略の発見2023

    • 著者名/発表者名
      石神広太
    • 学会等名
      第1回北海道バイオ"Mix up"
  • [学会発表] Trojan horse in Insect-Microbe symbiosis2023

    • 著者名/発表者名
      Ishigami K, Jang S, Yoshioka A, Morimura H, Yokota A, Maegart P, Nakane D, Kikuchi Y
    • 学会等名
      日本進化学会 第25回沖縄大会

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公開日: 2024-12-25  

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