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2023 年度 実績報告書

ハイエントロピー合金を駆使した表面反応場の精密設計と革新的触媒の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ0077
配分区分基金
研究機関東京工業大学

研究代表者

シン 飛龍  東京工業大学, 元素戦略MDX研究センター, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワードハイエントロピー / 金属間化合物 / プロパン / CO2 / 触媒
研究実績の概要

金属材料は、工業、有機、製薬、および環境化学におけるさまざまな分子変換の触媒として用いられる重要な物質である。合金化による金属触媒の性能改善は古くから試みられてきているものの、2種類の金属の組み合わせや単純な混合比で達成できる性能改善にはある程度の限界があった。そのため、年々高まっていく社会の要請に応えられる高性能な触媒を開発するには、触媒設計指針や合金材料そのものにおける抜本的な革新が必要不可欠である。従来触媒をはるかに超える性能のハイエントロピー金属間化合物(HEI)とその設計指針を提案してきた。ハイエントロピー合金(HEA)は高い混合エントロピーに由来する熱力学的な安定性である材料。HEIにHEAよりさらに2つのメリットがある。1つは規則的な構造が部分的に保持されているため、複雑な選択的反応に適している。もう1つはΔHがマイナスであるため、得られるΔGもマイナスになり、安定性が大きくなる。
具体的にはCO2を用いたプロパン酸化脱水素などの反応系において、世界最高を含む極めて高い性能を示す触媒群を開発することに成功した。PtSn触媒はアルカン脱水素反応の高選択的触媒としてよく知られている、両サイトを多元素置換したHEIで極めて高い性能を示した。設計指針の例、CO2活性化能を向上させるため、Ptサイトの一部をNiとCoで置換した。一方、熱力学的安定性を高めるため、Snサイトの一部をInとGaで置換した。HEI触媒は触媒寿命と優れた熱力学的安定性を示し、元の性能を損なうことなくCO2のみで簡単に再生できる。その結果、国内外の複数の企業から本触媒技術の工業化に関するオファーを受け、現在は成型やスケールアップなど、実用化のためのステップを着々と進めている。資源(プロパン)によるプロピレン製造をカーボンニュートラル化できるため、Net Zero 2050に対する貢献も計り知れない。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Active site tuning based on pseudo-binary alloys for low-temperature acetylene semihydrogenation2024

    • 著者名/発表者名
      Ma Jiamin、Xing Feilong、Shimizu Ken-ichi、Furukawa Shinya
    • 雑誌名

      Chemical Science

      巻: 15 ページ: 4086~4094

    • DOI

      10.1039/D3SC03704E

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Development of a Highly Stable Ternary Alloy Catalyst for Dry Reforming of Methane2023

    • 著者名/発表者名
      Liu Ke、Xing Feilong、Xiao Yiying、Yan Ning、Shimizu Ken-ichi、Furukawa Shinya
    • 雑誌名

      ACS Catalysis

      巻: 13 ページ: 3541~3548

    • DOI

      10.1021/acscatal.2c05488

    • 査読あり

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公開日: 2024-12-25  

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