研究課題
触媒をはじめとする材料科学研究は未だ「絨毯爆撃的なスクリーニング」から脱却できていない。年々増え続ける膨大なデータ・知見を咀嚼し、目的に対して適切な仮説を提供できる人材は皆無である。人知に基づく研究は限界を迎えており、データ科学の先進技術を導入して材料科学研究の在り方を刷新することが求められている。本研究で使用する外挿的提案が可能な機械学習モデルは申請者らが独自に着想、開発した全く新しいモデルである。本提案は、化学を専門としながらも情報科学を扱える申請者だからこそ達成できる極めて挑戦的な研究テーマであり、新しい研究方法論を切り拓くものである。2022年度、水素を還元剤とするNO選択還元(H2-SCR)反応に対しては、外挿的な機械学習モデルを用いて、新規触媒探索を行っている。具体的には、実験⇔機械学習予測、というサイクルを回すことで、より少ない実験回数で新規触媒を見出す。これまでに、H2-SCRに対して既報有効な触媒を凌ぐ触媒を発見している(未発表)。機械学習によりリストアップした約600兆通りの膨大な触媒組成候補群の中から、300回の実験検討において、既報触媒を上回る触媒を40件以上も見出した。2023年度は、赤外分光(IR)、紫外可視分光(UV-vis)、X線吸収分光(XAFS)など様々な分光法を用いて、上記の機会学習で見出した触媒の反応機構の解析を行った。得た結果により、組成元素の酸化―還元はH2-SCR反応における触媒性能に関与するとこが分かった。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
ACS Catalysis
巻: 13 ページ: 12983-12993
10.1021/acscatal.3c02446