研究課題/領域番号 |
22J21953
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 美羅 北海道大学, 獣医学院, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
|
キーワード | 脱共役タンパク質 / ベージュ脂肪細胞 / ビタミン / 妊娠期 / 授乳期 |
研究実績の概要 |
妊娠・授乳期における母親の栄養状態は胎子や乳子のみならず、子の成長後の代謝機能や太りやすさにまで影響することが示されている。誘導型の褐色脂肪細胞であるベージュ脂肪細胞を誘導・活性化するとエネルギー消費量が増加し、肥満を抑制できることが明らかになっている。本研究では、妊娠・授乳期の母親のビタミンAおよびDの過不足に着目して仔の脂肪組織の形成と成長後の代謝能に与える影響を解明することを目的とした。 2022年度は、母マウスのビタミンAおよびDの欠乏が子マウスの脂肪組織形成と成長後の代謝能に与える影響を明らかにした。まず、マウスにビタミンAまたはDの欠乏食を与え、妊娠・出産・授乳させた。乳子期に脂肪組織を採取してベージュ/白色脂肪細胞量や脂肪組織の発達を評価した。母マウスのビタミンA欠乏は子マウスのベージュ脂肪細胞の誘導を抑制したが、ビタミンD欠乏では変化は見られなかった。また、乳子期の子マウスへのビタミンAの活性代謝物レチノイン酸の受容体 (RAR) アンタゴニストの投与によりベージュ脂肪細胞の出現が抑制された。次に、母マウスにビタミンA欠乏食を与えた子マウスや乳子期にRARアンタゴニストを投与した子マウスに離乳後普通食を与えて成長させ、6週齢で寒冷刺激を与えてベージュ脂肪細胞の誘導量を評価した。しかし、ベージュ脂肪細胞の誘導量に変化は見られなかった。また、熱産生脂肪細胞を制御する因子として細胞骨格タンパク質であるビメンチンに着目して研究を行った。寒冷刺激によって褐色脂肪組織や白色脂肪組織のビメンチンのチロシン残基がリン酸化されることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は母体のビタミンAやビタミンDの欠乏食の摂取が子マウスの乳子期および成長後のベージュ細胞の誘導に与える影響を調べることができたが、ビタミン過剰摂取の影響については検討できていないため当区分とした。
|
今後の研究の推進方策 |
母体のビタミンA欠乏が乳仔期の子マウスのベージュ脂肪細胞の誘導を抑制するメカニズムに焦点を当て研究を行う。
|