| 研究課題/領域番号 |
21J20064
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| 配分区分 | 補助金 |
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| 研究機関 | 東北大学 |
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研究代表者 |
千田 勤 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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| 研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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| キーワード | 大気圧プラズマ / 活性酸素種 / 選択的酸化 |
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| 研究実績の概要 |
本研究では、プラズマ照射で水と溶存空気から目的の活性酸素種を作り出し、これを用いてグリセリンの選択的酸化を進行させる。そして、温和な条件、触媒フリーの選択的酸化を進行させるための方法論の構築に取り組む。1年目の2021年度は、以下の項目に取り組んだ。
「①プラズマ照射器を取り付けた回分反応器の作製と活性種の生成・消滅挙動の定量的な把握」本学電子工学専攻金子教授の協力のもと、プラズマ照射器を備えた回分反応器を作製した。そして、グリセリンを含まない純水へのプラズマ照射実験を行った。分析は、生成した過酸化水素を補足して着色するトリンダー試薬を用いて行った。過酸化水素の生成量は、水溶液のpHと気相ガス組成の影響を受けることが分かった。また、トリンダー試薬により、プラズマ照射中の過酸化水素の生成挙動の可視化を試みた。その結果、過酸化水素は気液界面近傍で生成後、対流や拡散を伴う物質移動で溶液全体に進展する様子が観察された。これは、前述の気相ガス組成が過酸化水素の生成量に影響を与えるという結果を裏付けるもので、最終目標のフロー型反応器の設計に向けた重要な知見である。
「②グリセリンの酸化挙動に及ぼすプラズマ照射の影響評価」グリセリン水溶液へのプラズマ照射実験を行い、選択的酸化の進行の有無を確認した。その結果、20Wの低電力、常温常圧、5分の照射で、グリセリン転化率20%を得た。これは、金触媒を用い、60℃、9.8気圧、30分で得られる転化率に匹敵した。目的のグリセリン酸は選択率20%を得た。また、生成物組成に及ぼすpHの影響を検討した結果、強アルカリ条件ではグリセリン酸が、中性条件ではグリセルアルデヒドが観察された。従来の知見では、前者が金触媒、後者が白金触媒を用いた場合に観察されることから、プラズマ照射ではpH条件を変えることで、異なる触媒を用いた選択的酸化を進行させ得ると考えられる。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の研究実施計画通りに、研究を進めることができた。また、水への照射で、活性酸素種の生成反応場と物質移動の定量的な把握、グリセリン水溶液の照射で、生成物組成の制御因子の把握、をそれぞれ達成し、フロー型反応器の設計に向けた重要な知見を得ることができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
本年度に得られた知見に基づき、次年度は、まず、活性酸素種の生成挙動をより詳細に把握するため、水のみを対象として電圧や温度などのプラズマ照射条件の影響を検討する。そして、生成挙動を定量的に表現できる回分モデルの構築に取り組む。次に、グリセリンの選択酸化メカニズムの解明を目指し、種々の操作条件でプラズマ照射による酸化実験を行う。そして、前述の活性酸素種の生成モデルと、既に構築している触媒存在下でのグリセリン酸化モデルを組み合わせることで、新たなプラズマ照射下での回分モデルを構築する。そして、最終年度で、③目的の活性酸素種を利用できるフロー型反応器の設計・作成に向けた指針の獲得を目指す。
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