初年度の実施項目は、計画に記載した研究項目のうち、観測位置の最適化に関する以下の二つに大別される。 1.現象を表現する静的なモデルとの誤差をデータ駆動的に評価し、モデルと実際の現象とのずれに対して寛容な観測系を構築する手法の開発 2.現象を表現する動的なモデルの可観測性を効率的に評価し、測定を行うセンサ位置の高速な最適化を行う手法の開発 項目1では従来の線形な近似モデルとそれに基づくセンサ位置選択アルゴリズムを拡張し、より一般的な問題の形式に適用した。近似モデルと実現象との誤差が観測ノイズとして観測系に与える影響を加味し、従来の方法では考慮できていなかった観測位置に関して相関を持つような観測ノイズの影響を低減した。結果として、データ駆動的なモデルによって効率的に状態推定を行う観測系の信頼性向上に貢献した。これに関して論文の執筆と海外学会誌への投稿を行った。項目2ではセンサ位置最適化の対象が静的な線形システムから動的な線形システムへと自然に接続できることを確認した。これにより、時間に伴う変化として記述される物理現象を観測する観測系の構築に向けて前進した。以上の内容に関して、2022年3月の第9回 制御部門マルチシンポジウムにおいて口頭発表を行い、次年度の国際学会での発表に向けて海外学会用の論文を執筆した。これらの研究成果発表後は主双対近接分離法等の手法も取り入れ、最適化を実行する手法の選択肢を増やし計算時間や得られた観測系の評価を多角的に行っている。
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