研究課題/領域番号 |
21J20673
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横田 翔 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
|
キーワード | 鈍頭物体 / 非圧縮性流れ / 磁力支持天秤装置 / 粒子画像流速測定法 |
研究実績の概要 |
円柱後流の3次元速度場取得に向けたステレオPIV計測による速度推定精度の向上と磁力支持天秤装置との併用可否の確認,および速度場からの圧力場復元に用いるデータの取得に取り組んだ. ステレオPIVによる速度推定精度向上については,主に粒子導入装置であるシーディングレイクの設計・構築・適用を行った.既存の粒子導入装置では粒子密度が均一ではなく,さらに整流のため風洞に内蔵されているハニカム構造のパターンが粒子画像で見られていたが,シーディングレイクによる導入では粒子の均一性が良くなったためにハニカム模様も見られなくなり,速度推定精度が大幅に向上した.また,粒子が均一に分布するため磁力支持天秤装置のセンサ系に及ぼす影響が少なくなり,安定した円柱模型の浮揚・支持が可能となった. 磁力支持天秤装置とステレオPIVの併用可否の確認では,前年度に構築が完了したPIV計測系,磁力支持天秤装置を実際に風洞に接続して行った.その中で,適した画角設定,レーザー照射,粒子導入,および模型浮揚・支持が可能であることを確認した.しかし,レーザーが測定部壁面や磁力支持天秤装置のコイル等において反射され,粒子画像の背景として模型が明るく映りこんでしまう問題が判明した.この点に関しては,拡散反射を抑制するためにツヤあり黒色の塗装を施したプレートを反射面に設置することを検討している. 速度場からの圧力場復元に向けては,円柱模型を浮揚・支持した状態で2次元速度場を取得した.計測は主流に平行で円柱軸を含む面で行った.この面を複数に分割した画角を設定し,主流方向には円柱上流から円柱後方に形成される再循環領域の最下流部まで,半径方向には円柱軸から速度変動がほぼ無い主流の部分まで幅広く粒子画像の撮影を行った.今後,各画角で算出された速度場を繋ぎ合わせ,高空間解像度ながら広い範囲の速度場を作成して圧力場復元に用いる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ステレオPIV計測の速度推定精度の向上のために,シーディングレイクの設計・製作を行った.本学工場が繁忙であったことが影響して納品が予定より遅れたことにより,当初の計画にあったステレオPIVと磁力支持天秤装置を用いた実験を本年度中に行うことはできなかった.しかし,この実験に向けた各種検討は済んでおり,次年度初めに着手できると考えている. 速度場からの圧力場復元については,実験により粒子画像は取得したものの速度場算出に時間を要しており,圧力場復元の解析に至っていない. 音響場取得に向けたマイクロフォンアレイの設計・製作は着手されていない.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度では,3次元速度場の取得と圧力場復元に注力する.年度末に実施予定であった磁力支持天秤装置とステレオPIV計測を併用した実験を次年度初めに実施し,解析を進める.これにより,円柱後流に現れる大規模渦の構造および流れ場と空気力の関係を調査する.また,2次元2成分速度場からの圧力場復元の解析を早急に完了させ,次年度初めの実験で得られる3次元3成分速度場を使用した圧力場復元に発展させる. 以上の点が完了すれば,次にマイクロフォンアレイの設計および製作に移る.設計・製作および磁力支持天秤装置との併用検討は次年度後期もしくは最終年度初めに着手するよう計画を変更する.
|