研究課題
本研究では、超音速流れからの音響波の現象解明を目指し、データ駆動科学と流体可視化技術を融合することで3次元非定常流体場を再構成する研究を行う。本目的の実現に向け令和3年には、音響波であるスクリーチ騒音に関連する3次元時空間速度場を推定する手法を開発した。高時間解像度の点センサーのデータから速度場を推定するモデルを構築するために、空間解像度は低いが時間解像度が高い音響計測と空間解像度は高いが時間解像度が低い高速カメラによる粒子画像流速計測法(PIV)を同時に行った。超音速噴流の周りに設置したマイクロフォンの音響データからスクリーチ騒音の支配的な周方向モードを調べた。支配的な周方向モードの音響データから速度場データを推定する線形回帰モデルを構築し、周方向かつ時間解像された速度場を精度よく再構成しることに成功した。これより、スクリーチ騒音に関連する流体構造を3次元かつ時間解像された速度場で調べたため、スクリーチ騒音についてより深く理解することができた。フラピングモードが支配的な周方向特性を持つ超音速噴流では、二つのヘリカルモードで形成されることを発見した。このヘリカルモードは周方向に回転する方向が反対であるため、速度変動が打ち消されるタイミングと出し合わせるタイミングが存在し、この現象が繰り返すためフラピングの流体構造が形成されることを発見した。また、二つのヘリカルモードの位相差ごとにフラッピングの流体構造を調べた。位相差は時間に連れてランダム的に変化し、位相差が増加するときはフラッピングの流体構造が時計回りに回転し、減少するときは反時計回りに回転することが発見した。
3: やや遅れている
時空間超解像計測のデータ駆動科学アルゴリズムの開発は予定通り進捗し、成果を国際・国内学会に発表する予定であり、学術誌に投稿準備中である。加えて、昨年と違うデータ駆動科学アルゴリズムを開発し、推定制度を挙げた。一方、複数の低速カメラを用いたThree-dimensional Background Oriented Schlieren (3D-BOS)の実験を行い、多方向のランダムドットの移動を計測した。計測した移動量のデータを用いて、ある方向の移動量を推定するモデルを構築した。しかし、提案したデータ駆動科学のアルゴリズムの精度が低いため、空間超解像度の3次元密度場の再構成には至っていない。現在、カメラのサンプリングレート、教師データ数、実験データのノイズ除去などを考慮してデータ駆動科学アルゴリズムを修正している段階にある。
空間超解像度の3次元密度場の再構成に関しては、データ駆動科学アルゴリズムの精度をあげるために、カメラの高サンプリングレートと大量の教師データを考慮して再実験を行う。また、ベイズ推定などを用いてアルゴリズム改良する。乱流騒音やブロードバンド衝撃波関連騒音に関連する3次元流体場を高時間解像度で推定するモデルを構築する。ここで、動的モード分解を用いたシステムダイナミックスを構築し、提案したモデルの精度を検討する。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件)
Experiments in Fluids
巻: 63 ページ: 1~7
10.1007/s00348-021-03373-7
Journal of Visualization
巻: 24 ページ: 1173~1188
10.1007/s12650-021-00765-z