本年度は3次元空間伸展先端伸展型ソフトロボットの駆動方法を変更することで従来の課題を解決し、三次元空間内での動作を可能とする手法を新たに創案した.まず,今年度発表した,内部に硬い多関節リンク骨格を内包したEversion robotは,この研究での課題であった三次元空間での動作を剛性を高めることで実現した.この手法では,内部の骨格の剛性と,外側の空圧駆動の膜構造の柔軟性を両立するための設計の問題を検討している.また前年度末に滞在したStanford UniversityのAllison. M. Okamura教授での研究室での研究成果と,この研究室で得た三次元空間で重力に抗って形状を保持するアイデアについて,プロトタイプによってその原理と有効性を確かめた.なお未発表の内容を含むため詳細は割愛する.この2つの研究により,地面との接触が可能な二次元平面上では摩擦を用い,三次元空間では内部の剛性体を組み合わせることで様々な条件での動作を可能とした. 全期間を通して,この研究課題ではヒモムシの吻構造から着想を得て,長尺柔軟ロボットにおいて,柔らかさを維持したまま形状を保持するために,外力と内力の両方を活用する手法を提案した.内視鏡などの柔軟な長尺構造体は複雑な制御なく,環境に対して変形し,狭隘な空間での移動・探索作業を行うことができるが,一方で外部からの力により,予期しない変形が発生する可能性がある.本研究課題で提案したのは外力を一方で外力は環境に依存してしまうため,これに内的な剛性要素を組み合わせることで,様々な環境やロボットの長さにおいても形状を安定して保持することができ,探索可能範囲の拡大につなげることができる.
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