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2022 年度 実績報告書

低線量被ばく評価のための歯組織の生化学分析による電子スピン共鳴法の検出限界の改善

研究課題

研究課題/領域番号 21J23117
配分区分補助金
研究機関東北大学

研究代表者

光安 優典  東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2021-04-28 – 2024-03-31
キーワード電子スピン共鳴
研究実績の概要

昨年度はヒドロキシアパタイトにγ線を照射することが困難であったため、照射済みの試料の解析手法の改善に取り組んだ。エナメル質の主成分であるヒドロキシアパタイトは夫雄車線のばく露によってESRシグナルが発生するが、低線量被ばくの線量推定では、ESR測定によって得られたスペクトル中の吸収線量に線形的に増加するCO2-ラジカルの寄与が小さいため、その寄与のみを数値解析によって抽出する必要がある。これまではその数値解析には多成分解析を行っていたが、解析時に結果が有意な値でないことが多数あった。そこで、従来法の解析で使用している成分はそのままに、各成分を段階的にフィッティングすることで有意な値を求めることに成功した。
歯のエナメル質を抽出しESR測定を行うと観測されるスペクトルには、CO2-由来のもの、生物のもつ有機物由来のもの、および線形のバックグラウンドが主な成分であり、その他の成分の寄与は小さいため、主成分とその他の成分を段階的にフィッティングを行えるようなアルゴリズムを作成、利用した。作成したアルゴリズムは吸収線量ごとに作為的に作られたベンチマークテストでも従来の方法よりも正確なフィッティング結果を出し、実際のニホンザルのサンプルでもフィッティング結果の改善が見られた。
この新アルゴリズムは現在はコマンド上でのみ利用可能であるが、我々の研究グループではUIを整備し一般的に利用しやすくすることも検討されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本研究では、ヒドロキシアパタイトにγ線を照射し、照射されたアパタイトを測定することが重要な工程の一つであるが、2022年度にこれまで利用していたγ線照射施設が利用不可になり、代替施設の利用申請に時間がかかってしまった。一部の実験は共同研究者の管理するX線照射装置にて代用をしたが、X線とγ線では放射線のエネルギーが異なるほか、装置の性能上コントロールできる線量の幅が大きく、低線量照射の管理が難しかったため、当初予定していた計画と同等の実験を行うことが不可能であった。代替として照射を必要としない測定データの解析部分の改善を中心に行った。

今後の研究の推進方策

本年度は最終年度であるため、最終的な検量線の作成と線量推定を行う。現在コントロールとして新しいニホンザルの歯を抜歯、クラッシュの予定である。6月にγ線照射を行い、検量線を作成する。線量推定用のサルの個体は20ほどあるため、随時線量推定を行う。また、コンピュータによる被ばくシミュレーションを行う。現在試料管にγ線を当てるシミュレーションを行っており、現在は実際に顎中に萌出している歯の被ばくを象牙質や口唇の影響を加味してモデリング、シミュレーションする。昨年度の数値解析の改善も、現在まだ研究段階なので、簡易的に使用できるような仕様に改善する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] EXTERNAL EXPOSURE DOSE ESTIMATION OF WILD JAPANESE MACAQUES CAPTURED IN FUKUSHIMA PREFECTURE: DECOMPOSITION OF ELECTRON SPIN RESONANCE SPECTRUM2023

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Mitsuyasu, Toshitaka Oka, Atsushi Takahashi, Yasushi Kino, Kenichi Okutsu, Tsutomu Sekine, Takuma Yamashita, Yoshinaka Shimizu, Mirei Chiba, Toshihiko Suzuki, Ken Osaka, Keiichi Sasaki, Yusuke Urishihara, Masatoshi Suzuki, Manabu Fukumoto, Hisashi Shinoda
    • 雑誌名

      Radiation Protection Dosimetry

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 歯のESRスペクトルにおける放射線誘起成分の解析精度の検討2022

    • 著者名/発表者名
      光安優典、岡壽崇、高橋温、木野康志、奥津賢一、関根勉、山下琢磨、清水良央、千葉美麗、鈴木敏彦、小坂健、佐々木啓一、鈴木正敏、福本学、篠田壽
    • 雑誌名

      KEK proceedings

      巻: 2022-2 ページ: 120-125

    • 査読あり
  • [学会発表] Dosimetry of external exposure dose for wild Japanese macaques lived in Fukushima using tooth enamel2022

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Mitsuyasu; Toshitaka Oka; Atsushi Takahashi; Yasushi Kino; Kenichi Okutsu; Tsutomu Sekine; Takuma Yamashita; Yoshinaka Shimizu; Mirei Chiba; Toshihiko Suzuki; Ken Osaka; Keiichi Sasaki; Masatoshi Suzuki; Manabu Fukumoto; Hisashi Shinoda
    • 学会等名
      Radiation Research Society's 68th Annual Meeting
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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