研究課題/領域番号 |
22J10827
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
青木 竜一 東北大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | 軍事 / 王権 / 国制 / 将軍 / 都督 / 監軍 / 皇帝親征 / 後漢魏晋 |
研究実績の概要 |
二つの課題として挙げていた〈監軍〉〈皇帝親征〉のうち、3世紀までの事例に関しては調査と分析をおおむね終えた。 〈監軍〉については、次年度(令和5年度)の特別研究員奨励費で購入予定の史料分を除けば、3世紀までの事例についてほとんど調査と分析を終えた。そして、監軍の一種である「督軍」について、その成果を、青木竜一「国制面から見た曹魏・西晋都督制の特徴――後漢・孫呉の都督・督軍と比較して――」(第22回魏晋南北朝史研究会大会、2022年9月17日、招待あり)と題して口頭発表を行い、また博士論文にて1章を割いて論じるに至った。また、それとは別に2世紀までの監軍に関する総合的な検討を行い、その成果を博士論文にて1章分を割いて論じた。こちらに関しては、次年度に学会発表および学術雑誌への論文投稿を予定している。次年度は、残された3世紀の事例の分析および4世紀から5世紀までの事例の調査と分析を行う。 〈皇帝親征〉については、まずその前提として皇帝が親征しない場合の軍隊の派遣と、将軍に対する軍権の委譲について、青木竜一「後漢末の軍事における節と鉞――軍事司法に注目して――」(第70回東北中国学会大会、2022年5月28日)と題して口頭発表を行い、青木竜一「後漢・魏晋期の国制上における軍の位置づけの変化――将帥への斧鉞授与に注目して――」(『東方学』145、2023年)と題して論文を掲載するに至った。また、〈皇帝親征〉そのものについては、2世紀までの事例の分析を行い、その結果を博士論文にて1章を割いて論じた。これについては、次年度に学会発表および論文投稿を予定している。さらに、次年度には、3世紀から5世紀までの事例について調査と分析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
〈監軍〉の研究については、基本的には研究計画調書通りに進捗しているが、唯一『長沙走馬樓三國呉簡・竹簡』の分析に関してだけは、当初の計画の半分程度の進捗に留まっている。その一方で、〈皇帝親征〉の研究については、次年度に着手する予定であったものを、繰り上げてすでに上述の如く研究を進め、成果を発表している。そのため、総合的に見れば、おおむね順調に進展していると言える。計画変更の理由としては、博士論文の執筆の必要性が生じ、そのために〈皇帝親征〉やそれにまつわる研究を優先的に実施する必要が新たに生じたためである。いずれにせよ、順序の前後があったのみで、総合的には問題無いものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
〈監軍〉の研究に必要な『長沙走馬樓三國呉簡・竹簡』の史料自体については、研究計画通りに本年度購入予定分の購入を終えている。よって、次年度の特別研究員奨励費を用いて残りの巻も購入し、秋頃までにはデータベースの作成と分析を終える予定である。一方で、〈皇帝親征〉については、当初の計画より前倒しして実施し、2世紀までの事例に関しては博士論文として論文を執筆するに至っているので、残るは3世紀から5世紀までの事例のみである。これについては、〈監軍〉の研究が終わり次第、年末までには研究に着手する予定である。
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