研究実績の概要 |
1. 非局所的なディリクレ形式に対して定義された多様体に値を取る調和写像の, 多様体上の不連続なマルチンゲールを用いた特徴づけを与えた. 特に分数冪ラプラシアンに関する調和写像は対称安定過程を部分多様体上のマルチンゲールに写す写像として特徴づけることができるため, これらの調和写像を確率論的に研究するための基礎になると考えられる. 2. 正の時刻で定義された多様体上の不連続なマルチンゲールが時刻を0に戻したときに収束するための必要十分条件を与えた. 3. 調和写像のユークリッド位相に関する連続性とマルコフ過程の道に沿った連続性のギャップについて研究した. 一般に調和写像の弱解を対象にした場合, こ れら二つの連続性は一致しない. しかしラプラシアンに関するエネルギー最小写像に対しては, 集合の尖細性を容量により特徴づけるWienerの判定条件を応用することで, 両者が一致することが示される. また分数冪ラプラシアンに関するエネルギー最小写像に対しては, 反射対称安定過程に付随するディリクレ形式を用いた評価により同様の同値性を示した. これにより分数冪ラプラシアンに関するエネルギー最小写像の連続性を, マルチンゲール及びその2次変動の時刻0付近における収束性により解釈することができる. 4. ジャンプが埋め込みにより与えられる部分多様体上のマルチンゲールを正規直交枠束上の確率微分方程式を通して構成する手法を与えた.
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