研究課題/領域番号 |
22J20818
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
徐 芸丹 東北大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 神経分化 / 乳酸 |
研究実績の概要 |
乳酸が神経細胞分化へ与える影響を解析するために、今年度はin vitroでの解析を中心に行った。まずヒト神経芽細胞株SH-SY5Yおよびマウス神経細胞株Neuro2Aを分化誘導する際に30mM乳酸を加えると、神経細胞分化マーカーの発現と神経細胞突起の伸長率が増加することを見出した。次に乳酸結合性タンパク質であるNDRG3に役割に着目し、乳酸刺激で発現が上昇し且つNDRG3ノックダウンで発現が低下する遺伝子群のパスウェイ解析を行ったところ、約25%が神経分化に関わる経路に該当することを見出した。同様に抽出した発現変動遺伝子群から転写因子群をピックアップし、分化誘導とNDRG3ノックダウンにおける機能解析を行うことで、乳酸-NDRG3シグナル調節性の新規転写因子としてTEAD1とELF4を同定した。現在これらの成果は国際学術誌に投稿中である。また次に未分化なSH-SY5YおよびNeuro2Aを30mM乳酸で24時間刺激し、RNA-seqで発現変動遺伝子を検出し、乳酸刺激を受けた両細胞で共通して発現上昇する「乳酸応答性遺伝子群」をリストアップした。現在、マウス胎仔脳由来の初代神経細胞における乳酸応答性遺伝子の解析も進めており、乳酸が神経細胞に与える影響を明らかにするための包括的な情報整備が順調に進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乳酸が神経細胞分化に与える影響をin vivoで解析し行動フェノタイプを得ることが、細胞レベルでのヒストンシグナル経路の活性化を生理レベルに落とし込むために欠かせない。現在、研究室では一部の行動解析機器が足りないため、新たな機器の購入をする必要がある。また各ヒストンラクチル化が及ぼす遺伝子発現の変化を包括的に解析するためには、ChIP-seqを複数回行うことが必要なため大量の試薬を用いる必要がある。いずれの解析も乳酸に着目した神経細胞の遺伝子発現解析および行動解析の根幹を担う重要な部分であり、研究資金の増額は研究スピードを飛躍的に上げることが期待できる。その他の試薬は研究室共用のものをなるべく使用することで経費節減をするが、どうしても100万/年を超える予算計画になってしまったため、特別枠の応募を希望した。
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今後の研究の推進方策 |
現在これらの成果は国際学術誌に投稿中である。また次に未分化なSH-SY5YおよびNeuro2Aを30mM乳酸で24時間刺激し、RNA-seqで発現変動遺伝子を検出し、乳酸刺激を受けた両細胞で共通して発現上昇する「乳酸応答性遺伝子群」をリストアップした。現在、マウス胎仔脳由来の初代神経細胞における乳酸応答性遺伝子の解析も進めており、乳酸が神経細胞に与える影響を明らかにするための包括的な情報整備が順調に進んでいる。
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