• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

Eph受容体に対する腫瘍特異的抗体の開発とその認識機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ0297
配分区分基金
研究機関東北大学

研究代表者

七宮 蓮  東北大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
キーワードEphB4 / Eph receptor / CasMab法 / がん特異的抗体 / モノクローナル抗体 / がん / 抗腫瘍 / 抗体医薬品
研究実績の概要

Eph receptor B4 (EphB4)は乳がんや肺がんなどの複数のがんにおいて高発現している膜タンパク質であり、がん細胞の増殖、浸潤、転移、及び血管新生に寄与することが報告されている。しかし、EphB4は静脈内皮細胞を中心とした多くの正常細胞においても発現が認められ、副作用の観点から、がん細胞特異的なEphB4に対するモノクローナル抗体の開発が望まれている。そこで本研究では、がん細胞特異的に膜タンパク質を認識するモノクローナル抗体を作製する手法であるcancer-specific mAb (CasMab)法を用いて、がん細胞特異的な抗EphB4抗体の開発を目指している。
乳がん細胞株および乳がん組織のEphB4を特異的かつ高感度に検出できるB4Mab-7(IgG1, kappa)は、フローサイトメトリー(FCM)、ウェスタンブロッティング(WB)、及び免疫組織染色(IHC)の全ての実験手法に適応できる世界初の抗EphB4モノクローナル抗体として樹立された。本年度はがん特異的な抗EphB4抗体の樹立に加えて、B4Mab-7が他のがん種のEphB4を認識できるのか、EphB4のどの領域を認識しているのかエピトープ解析を中心に実施した。その結果、肺がん、大腸がん、胃がんなど複数のがん種の組織切片でEphB4を認識できることが明らかになった。
さらに、B4Mab-7がEphB4のどの領域を認識しているのか検討するために、欠失突然変異体を作製してエピトープ解析を実施した結果、EphB4のN末端側のフィブロネクチンIII型ドメインを認識することが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度はCBIS法を用いてがん細胞に内在的に発現するEphB4を特異的、かつ高感度に認識し、フローサイトメトリーやウェスタンブロット、免疫組織染色といった、全てのアプリケーションに適応可能な抗EphB4モノクローナル抗体であるB4Mab-7の開発に成功した。そこで今年度はB4Mab-7のエピトープ解析を実施し、EphB4の認識部位の同定に成功した。
また、今年度は、がん細胞が発現するEphB4を特異的に認識するモノクローナル抗体を作製することを目標としていた。B4Mab-7以外にも約100種の抗EphB4モノクローナル抗体を樹立し、がん特異的な抗EphB4抗体の候補抗体を多数取得することができた。現在までに、B4Mab-7に関する論文および学会発表を行っている。そのため、おおむね順調な進展と評価した。

今後の研究の推進方策

がん特異的な抗EphB4モノクローナル抗体の作製に向けて、抗EphB4モノクローナル抗体を引き続き樹立していく。がん特異的な抗体のがん特異性の有無についてフローサイトメトリー解析を主軸とした網羅的なスクリーニングを実施する。さらに、がん特異的な抗体のエピトープ解析を行い、同定したエピトープ部位の正常細胞とがん細胞における糖鎖修飾などの違いを解析する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Development of an Anti-EphB4 Monoclonal Antibody for Multiple Applications Against Breast Cancers2023

    • 著者名/発表者名
      Nanamiya Ren、Suzuki Hiroyuki、Kaneko Mika K.、Kato Yukinari
    • 雑誌名

      Monoclonal Antibodies in Immunodiagnosis and Immunotherapy

      巻: 42 ページ: 166~177

    • DOI

      10.1089/mab.2023.0015

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Defucosylated Monoclonal Antibody (H2Mab-139-mG2a-f) Exerted Antitumor Activities in Mouse Xenograft Models of Breast Cancers against Human Epidermal Growth Factor Receptor 22023

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Hiroyuki、Ohishi Tomokazu、Nanamiya Ren、Kawada Manabu、Kaneko Mika K.、Kato Yukinari
    • 雑誌名

      Current Issues in Molecular Biology

      巻: 45 ページ: 7734~7748

    • DOI

      10.3390/cimb45100488

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] がん転移関連分子EphB4 に対する高感度モノクローナル抗体の開発2023

    • 著者名/発表者名
      七宮蓮、鈴木裕之、金子美華、加藤幸成
    • 学会等名
      第32回日本がん転移学会学術集会・総会
  • [学会発表] 乳がんを標的としたEphB4に対する高感度モノクローナル抗体の開発2023

    • 著者名/発表者名
      七宮蓮、鈴木裕之、金子美華、加藤幸成
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi