研究課題/領域番号 |
22J22330
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中里 悠人 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 社会基盤施設群 / 維持管理施策 / 数理最適化 / システム最適化 / 組み合わせ爆発 / ライフサイクル費用 / 最適化アプローチ / 相互関係 |
研究実績の概要 |
日本には道路や橋梁などの社会基盤施設が大量に存在し,2012年の笹子トンネル天井板落下事故以降,適切な維持管理による安全性・利便性の確保が重要課題となっている.増大する維持管理・更新費用に対し予算は限られるため,社会基盤施設の維持管理・更新を効率的に実施するためのアセットマネジメントの研究が求められている. 単一の社会基盤施設に対しては,数理最適化手法を用いてライフサイクル費用を最小化する維持管理施策の研究が蓄積されてきた.しかし,実務においては複数の社会基盤施設(以下,施設群)は同時に管理される.施設群の間には,様々な相互関係が存在し,既存する計算手法では組み合わせ爆発により,実務的な維持管理施策の導出が困難である. 本研究の目的は,多様な施設群の維持管理施策最適化問題に対する,最も有効な最適化アプローチの解明とする.施設群の間の相互関係として,(1)同時補修による費用削減,(2)共通の予算制約,(3)利用価値の相関,といった相互関係があげられる. 同種の施設群でも異なる相互関係を持つ場合があり,例えば予算の上限額により維持管理施策は異なる.一方で,異種の施設群でも同様な相互関係を持つ場合があり,例えば道路舗装と鉄道軌道は近隣の同時補修で費用の削減が可能であり,類似した維持管理施策を有する. 本研究で,まず単一の相互関係のみを有する問題に対して,解に対して支配的である要因や,支配要因に対する解の変動傾向などの厳密解の性質を解明することで,相互関係ごとに有効な最適化アプローチを解明する.さらにその結果をもとに複合的な相互関係を有する問題に対して最も有効な最適化アプローチを解明する. 本研究の完成により,様々な施設群の維持管理施策問題に対して,解釈が簡単かつ正当性が保証される高性能な最適化手法が得られるため,実際の施設群における維持管理への最適化手法の実用化が推進される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は当初の計画通りおおむね順調に進展している.当初の予定である,単一の相互関係を有する施設群の性質解明については,既往研究で行った「同時補修による費用削減」があるケースに加えて,「利用価値の相関」があるケースの問題の性質解明と最適化アプローチの開発を行った.また,来年度以降予定している複合的な性質を有する問題に対する研究の準備として,「同時補修による費用削減」と「利用価値の相関」が同時に存在する問題に対する研究も遂行している.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き単一の相互関係(「利用価値の相関」,「同時補修による費用削減」)を有する問題に対する有効な最適化アプローチの解明を行う.また,それらが同時に存在する問題に対して,既に有用性が示されている最適化アプローチの有用性の検証および新しいアプローチの考慮を行う.
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