研究課題/領域番号 |
22J22982
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井上 理哲人 東北大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | ドローン / ヒューマンインタフェース / AR / 遠隔操縦 / 三人称視点 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,高精度な屋外状況認識技術の実現に向けて,複数台ドローンを用いた屋外移動体の多次元情報トラッキングシステムの実現を目的とする. 本年度は,飛行するドローン(主ドローン)の上空にもう一台副ドローンを飛行させ,その副ドローンからの映像(三人称視点)とセンサ値及びカメラパラメータから主ドローンの三次元位置を高精度に取得するアルゴリズムを開発した.また,そのアルゴリズムを基にaugmented reality (AR)で副ドローンからの三人称視点に主ドローンの高度,平面位置,角度といった空間情報を重畳表示し,さらに副ドローンを主ドローンの速度やARコンテンツの描画範囲を基に主ドローンの周囲空間予測を可能にする様に最適配置することによってドローンパイロットの遠隔地における機体周囲の状況認識を支援するドローン操縦インタフェースを開発した.さらに,2台のプログラマブルなドローンを用いて提案インタフェースの実機実装を行った. また,実機を用いた屋外被験者実験をドローン操縦初心者9人を対象として実施し,ドローン操縦時のターゲットとの距離エラーや高速移動時のオーバーシュト距離を計測することで,本手法が従来の一人称視点及び三人称視点ドローン操縦インタフェースに比べて有意にパイロットの空間認識を向上させることを示した. 本成果はHuman-computer interaction分野の国際学術会議ACM CHI2023にフルペーパーとして採択され,口頭発表を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度,副ドローンの映像から主ドローンの三次元位置を推定するアルゴリズムを開発した.このアルゴリズムは複数台ドローンの最適配置を行う上で,基盤となる要素技術であり,研究課題の目標に近づいたと考えられる.また,ARコンテンツの描画によりドローンの空間的な状態をパイロットに提示するインタフェースの設計も行った.このAR描画は複数台ドローンをパイロットが直感的に制御する上でも有用であると考えており,今後開発予定の群制御インタフェースでも取り入れる予定である.そのため今後の研究において必要な知見を集めることができたと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降はドローンにデプスカメラやマイクアレイ等のセンサを搭載した,多次元情報をトラッキング可能なドローンを開発する.また,本年度開発したアルゴリズムを用いて主ドローン群の三次元位置を獲得し,最適配置を行うアルゴリズムの開発も行う予定である.さらに,ドローン自身の発するノイズに対してロバストな収音アルゴリズムを開発する. これらの要素技術を組み合わせ,最終的にはドローン群の多視点制御インタフェースを構築し,提案システムのユーザビリティ及び情報の完全性を評価する.
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