研究課題
本年度においては、3施設すべてにおける脳波データ、画像データの取得と、脳波データのプレプロセシング、画像データから各患者における頭蓋内脳波電極位置の同定、それらを標準脳に変換するという作業を行い、データを解析可能な状態に加工した。また、切除領域内かその外かを同定するために、術後MRIも取得しそれらの同定も行った。さらに、臨床情報の取得も行うことで、多変量解析などに必要な情報を整理した。加えて、既に用意してあるウェイン州立大学の135例のデータを用いて、以前報告したてんかん原性バイオマーカーと比べて、更なる精度の高いてんかん原性領域のバイオマーカーの同定に努めた。具体的には、HFOやMIの時間的変化や、周囲の電極と比較しての空間的な変動度が、てんかん原性領域を示唆する可能性があると考え、それらを用いた、てんかん外科術後予後予測モデルを用いることで、従来用いていた単なる電極におけるHFOやMIの値よりも精度が高い可能性を示唆する結果となり、これらの成果は、2022年12月にNashvilleで行われたAmerican Epilepsy Society Annual Meetingでポスター発表し、質問などを受け有意義なFeedbackを受けた。また、術中の頭蓋内電極データによる予後予測を行うために、術中脳波に関しても上記と同様の過程を行い、データのプレプロセシングを行った。術中脳波においては、麻酔条件によっても所見が異なるため、麻酔条件の違いでも見る必要が有ることを確認した。
2: おおむね順調に進展している
上記研究実績の概要に記した通り、解析の前段階まで到達しており、おおむね順調に進展していると考えられる。予期していなかったこととしては、自分の研究では異なる3施設のデータを扱うが、施設によって詳細な情報や画像データの撮像の仕方などの細かい設定が異なり、それを処理するうえで、施設データごとでの対応が求められたため、その部分は予想していたより時間がかかった。
今後は、上記のデータを用いて解析を行っていく予定。特に、解析は仮説に基いて行っていくが、解析の処理の細かい方法やパラメータの設定に関しても、様々な方法が考えられるため、学会などで収集した知識を基に行っていく予定。場合によっては、他の研究者の協力を仰ぎ、よりよいモデルを作成する予定。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件)
Clinical Neurophysiology
巻: 150 ページ: 17~30
10.1016/j.clinph.2023.03.004