研究課題/領域番号 |
22J40116
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
LEE FUHSING 茨城大学, 地球・地域環境共創機構, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 地域防災 / 震災復興 / 日台交流 / ステークホルダー / コロナ禍 / 外部支援 / 土砂災害の防災 / 協働 |
研究実績の概要 |
本研究の実績は以下の3つに分けて説明する。 (1)地域における防災およびコロナ禍の取り組み:日本と台湾の地域の復興・防災の取り組み、コロナ禍によってどのような影響を受けたのか、そして支援の在り方を把握するために、茨城県大洗町および台湾で現地調査を行った。その結果、大洗町について、住民は受動的に援助を待つだけではなく、復興の経験を活かし、新たな取り組みを展開していることが分かった。台湾については、NPO/NGO支援団体が平時から防災と福祉に関わる地域活動を実施し、コロナ禍および災害時にスムーズに支援活動を行う体制が整っていることが明らかになった。 (2)日本と台湾の地域の土砂災害防災における比較研究:日本では、地域防災活動の歴史が長く、組織が中心となって計画的に動いている。台湾では、地域住民が多様な行政担当、専門家と協働的に地域防災の活動を行っている。日本の行政・専門家と地域住民の間のコミュニケーションの強化について、特定の「人」を中心とした地域の防災体制を作ってきた台湾の手法が参考になる。他方で、防災活動の継続力が不足しているといった課題を有する台湾においては、地域防災を制度化する日本の在り方から学ぶことができた。 (3)「日台地域防災プラス交流会」の企画開催:日本と台湾の地域防災における成果や課題を共有するために、日台の研究者が連携し、高知県四万十町大正地区や台湾の雲林県古坑郷華山村で地域間交流ワークショップを開催した。2022年9月7日の午前中に、40名の日本と台湾の地域住民、大学生、研究者がオンライン会議に参加した。その結果、日本と台湾では、歴史、文化、社会制度は異なるものの、交流会を通じて、両地域が地域豪雨、土砂災害などの災いを、地域の恵みに転換しているという共通点が見出させることが明らかになった。 なお、以上の研究成果を、査読学術論文および国内学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の2022年度の研究計画としては、日台において復興の制度・現状、コロナの対策と対応を把握する予定であった。実際に、茨城県大洗町と台湾の雲林県華山村で現地調査を行い、コロナにおいてどのような影響が生じ、それに地域社会はどのように対応したのかを把握した。また、日台防災の課題や実状を整理し、査読論文を発表した。最後に、日台の交流会については、本来の企画では現地実施だったが、コロナの蔓延で感染拡大防止のための海外出入国の制限があり、最終的にオンライン形式での実施となった。
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今後の研究の推進方策 |
近年は、気候変動により、多発かつ極端化した自然災害が毎年多くの命を奪い、建物を破壊し、地域社会を弱体化させるなど多大な損害を与えている。さらに、コロナの襲来が地域社会に新たな試練を与えている。そこで、今年度は、地域におけるポストコロナによる影響や取り組みを把握するために、日台でフィールド調査を継続的に行う。 日台の交流会の開催について、日台の研究者と連携し、交流地域コミュニティを拡大し、課題解決に向けて議論を深めていく。そして、地域に関与するステークホルダー (地域リーダー、自主防災組織メンバー、外部支援者、研究者など)からのコメントやステークホルダー間の対話を通じて、本研究の研究成果を修正・再考察する。 次に、これらの実践研究を理論化するために、インターローカリティの理論に基づき、台湾と日本のそれぞれの取り組みを整理・体系化する。以上の論点に基づき、日台の住民主体の取り組みの特徴を比較し、課題の解決に向けたを提言を行う。 なお、研究成果の発信について、日本国内だけではなく、台湾社会そして国際学会や論文誌に積極的に発表する予定である。
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