研究課題/領域番号 |
21J00204
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松井 健人 筑波大学, 図書館情報メディア系, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 民衆図書館 / 図書館史 / 読書 / 西ドイツ / ナチス期 / 公共図書館 |
研究実績の概要 |
本年度は、戦後西ドイツ図書館を検討するにあたって、戦後西ドイツ図書館界でも課題となった良書基準、青少年保護といった教育的課題が戦前ドイツからどのように引き継がれていったのか、この点に着目して研究を行った。結果、戦前期・戦後期でのこれらの教育的課題の問題状況がそれぞれ詳細に判明した。また、前述の研究活動の成果について、とりわけ戦前期について、本年度は研究成果を発表していった。 本年度の研究実績は以下の通りである。ヴァイマル期の青少年の読書に関する検討を行った学会誌の査読付き研究論文一本を発表した。ならびに、ナチス・ドイツの禁書目録・推薦図書目録の一部を翻訳、整理した資料紹介を執筆した。この資料紹介は、現在学術誌に投稿中である。また、学会研究発表として、戦前期日本図書館界におけるドイツ図書館情報の受容に関して検討した発表と、ヴァイマル・ナチ期の図書目録に関する発表を行った。さらに、戦後西ドイツ図書館に関しては、図書館情報学にかかわる事典に項目を執筆した。 これらの研究活動により、戦後西ドイツ公共図書館においても重要な課題である、青少年の読書の健全性や、アメリカによる占領期ドイツの図書館政策へアプローチする下準備を整備することができた。今後は戦後西ドイツにおける図書館政策の歴史的展開、ならびに戦時から戦後にかけてのドイツ図書館界における人的連続性・非連続性に着目して研究を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はCovid-19 の影響で、海外渡航調査は実施できなかった。しかしながら、予備的文献調査を行うとともに、採択決定後進めてきた関連研究を推し進め、研究課題の進展に寄与することを試みた。結果として、非ナチ化を扱う本研究にとっては重要な、ナチ期の図書館行政ならびに文化政策に関する研究を、論文化し学会発表を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
戦後西ドイツにおいて、アメリカ占領期からどのように図書館組織の再編がなされたのかを分析することを予定している。とりわけ、図書館職業団体の制度的変遷の分析を行う。具体的には、ナチ期のドイツ民衆図書館員連盟から、45 年設立の「ドイツ図書館協会のための準備委員会」、そして準備委員会が再編され49 年に設立された(73 年まで存続)ドイツ図書館連盟(Deutscher Buechereiverband)にいたるまでの再編過程・人員構成の調査を行う予定である。
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