研究課題
Phae1は新規ストレス応答性プロテアーゼである。Phae1の発現を制御するシグナル経路を同定するために、前年度の研究により樹立したレポーターアッセイシステム(Phae1>luc)を用いて低分子化合物の阻害剤スクリーニングを行った。その結果、mTOR(mammalian target of rapamycin)の阻害剤として知られているラパマイシンの処理によって、ストレス誘導性のPhae1の発現および細胞死誘導が抑制されることを見出した。つぎに、神経系特異的にmTORをノックダウンした場合、致死的な高温ストレス後の生存率が、野生型の個体よりも高くなることが分かった。さらに、2023年度の解析から、Zesteのタンパク質発現量がmTORノックダウンによって抑制されることも分かった。以上の結果から、ストレスによって誘導されるPhae1の発現量はmTOR経路によって制御されている可能性が示唆された。また、転写因子zesteはPhae1の遺伝子発現を制御する転写因子である。前年度のZeste組み換えタンパク質を用いてゲルシフトアッセイの結果から、ZesteのDNA結合領域がPhae1のプロモーター領域に結合し、DNA-Zesteタンパク質複合体が形成されることを明らかにした。2023年度のChip assayを用いた解析によっても、ZesteがPhae1の上流に結合することを確認できた。以上の結果から、ZesteはPhae1プロモーター領域に直接結合することで、ストレス後のPhae1の発現量を制御していることが示唆された。
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Insect Biochemistry and Molecular Biology
巻: 167 ページ: 104086~104086
10.1016/j.ibmb.2024.104086