研究課題
量子センサであるダイヤモンドNV centerを用いた暗黒物質方向探索の実現に向け、検出器開発を進めた。この実験では、ダイヤモンドをシンチレータと飛跡検出器の両方で機能させることで、暗黒物質による反跳原子核事象を発光信号でトリガーし、NV center による蛍光飛跡検出法で反跳方向の検出を狙う。シンチレータ特性の評価は、これまで主に市販のダイヤモンド基板を用いて行った。発光中心として不純物窒素が有望であることを明らかにし、発光量や発光波長、時定数を定量的に示した。2023年度からNIMS高圧グループとの共同研究を開始し、発光中心となる不純物を変えながらの人工結晶作製を可能とした。また、シンチレータだけでなくボロメータとしても機能させることで、トリガー信号の情報量増大を図り、熱検出器の開発に取り掛かった。ダイヤモンド基板上に直接的に超伝導素子(Microwave Kinetic Inductance Detector)を作製し、極低温下での共鳴応答を観測した。飛跡検出に関しては、NV centerの並びとして記録される重粒子飛跡を読み出すための共焦点顕微鏡を開発した。レーザーと対物レンズ、MPPCで光学系を構築し、マイクロ波発生器と組みあわせた測定系でNV centerの光検出磁気共鳴を観測し、NV centerの量子状態操作と、その読み出しを実証した。この装置による重イオン飛跡の観察を試みた。照射試料の不純物量が不適であったことが明らかになり、飛跡検出のための試料の条件に制限をつけた。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 1057 ページ: 168789~168789
10.1016/j.nima.2023.168789