研究課題/領域番号 |
21J00569
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田 暁潔 筑波大学, 体育系, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
|
キーワード | 牧畜民マサイ / 東アフリカ / 子ども / 身体活動 / 文化的発達 |
研究実績の概要 |
コロナ感染症の蔓延による渡航制限を受け、2021年度は、当初の計画を変更し、先行文献と既存データの整理、および予備調査から得られたデータの分析を中心に研究を進めた。予備調査では、9から12歳のマサイの子どもの身体活動量の計測(ActiGraph wGT3X-BT)、および同期間中における彼ら/彼女らの日常活動の詳細に関するアンケート・聞き取り調査を実施した。得られた結果をまず、マサイ社会における子ども期の生業参加の特徴と関連づけて、遊び・スポーツ以外の日常活動による身体運動の発達のあり方を示したほか、これまでに大きく無視されてきた子どもの多様なる社会参加・成長と身体活動・発達の関係に着目する重要性を提起した。また、同じ研究手法を用いた運動疫学の研究者との研究連携ができて、生活環境の異なる地域(農村部と都市部、日本とケニア)で暮らす子どもの身体活動量の比較を試した。以上のほか、これまでの長期的フィールド調査で得られた子どもの裸足実践(移動、木・棘柵登り、跳ぶ、踊る、じゃれあう、足のケア・治療)に関する記述を選出し、彼ら/彼女らの身体活動・発達をアフォードする子ども期の身体と物質環境との関わりがどのようなものなのか、そのような経験はどのようにして、どのような文化的学習を達成させたのか、また、以上の結果を踏まえて、マサイの子どもにとって、裸足の経験がどのような意味を持つのかを「生物社会的(biosocial)」アプローチから検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染症の蔓延による渡航制限を受けて、当初の渡航計画を大きく変更したが、通信機器を活用した調査地の情報収集のほか、分野を跨ぐ連携によって、研究活動が順調に展開できた。特にケニア側の研究者と現地の調査助手の協力を得て、遠距離のデータ収集の試行錯誤ができて、その経験から収集できたデータを用いら成果発信ができました。さらなる調査と研究の推進には良い環境も構築できたので、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度は、研究目的の(1)日常のさまざまな局面でどのような身体活動をどのようにおこなっているのか;(2)異なる身体的な振る舞いがどのような社会的・文化的状況に支えられ/制約されているのか;(3)活動の場にどのような対人関係や相互行為が存在しているのか、を中心に研究を進めていきたい。渡航が可能になったら、速やかに渡航し、計画していた子ども個々人対象の追跡調査と参与観察を実施し、子どもそれぞれの活動量、活動内容、移動範囲、同伴、及び活動の際のやりとりの詳細を記録する。さらに、フィールドから得られたデータを用いて、以上の三つの問いを答えていく。
|