研究課題/領域番号 |
21J00569
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田 暁潔 筑波大学, 体育系, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 東アフリカ / 牧畜民マサイ / 子どもと青年 / 身体活動 / 身体文化 |
研究実績の概要 |
本研究は、牧畜民マサイの子どもの身体活動を文化人類学の視点から再定位するために、子ども社会化のプロセスに身体がどのような役割を担っているのかを長期的なフィールド調査から検討する。 具体的には、異なる年齢・性別の子どもの生活世界に着目して、(1)日常のさまざまな局面でどのような身体活動をどのようにおこなっているのか;(2)異なる身体的な振る舞いがどのような社会的・文化的状況に支えられ/制約されているのか;(3)活動の場にどのような対人関係や相互行為が存在しているのか;(4)以上の三点が子どもの成長とともにどのように変化していくのかを、長期的なフィールド調査によって収集したデータから分析し、身体活動を社会化プロセスとして解明する 2022年度は、青年と子どもそれぞれの身体運動の特徴を調査した。青年については、高跳びダンスのビデオデータを用いて、個人の身振りと対人的相互行為の両側面から、伝統スポーツともされるこの身体パフォーマンスの文化的・社会的特徴を検討した。子どもについては、180名の2歳から16歳までの子ども(女子85名、男子95名)の身体活動量を、加速度計で計測し、遠隔アンケートと聞き取り調査によって、計測期間中の移動状況と日常活動の内容を記録した。また、身体活動のエネルギー代謝の側面を考慮して、身体活動量の調査に協力してもらった子どもを対象にして、食事のデータを写真と自主記録の両方からデータを収集した。現在は、以上の方法で収集できたデータの分析を進めており、学術論文の執筆に努めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染症の蔓延と旱魃の影響を受け、2022年度もフィールド調査の実施が実現できなかったが、当初の計画を変更して、通信機器を用いた遠隔のデータ収集を試みた。また、ケニアの研究者の協力を得て、より広い年齢幅の子どもから身体活動量を収集できた。以上によって、研究課題の遂行がおおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに収集できた身体活動量のデータの分析と研究成果のまとめと発信を中心に進めていく予定である。特に、収集できた2から16歳の子どもの身体活動量の生物学的・文化的特徴、子どもたちの日常活動、移動範囲、食生活と関連づけて、統合的に考察する。
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