研究実績の概要 |
本研究は、牧畜民マサイの子どもの身体活動を文化人類学の視点から再定位するために、子ども社会化のプロセスに身体がどのような役割を担っているのかを長 期的なフィールド調査から検討する。 具体的には、異なる年齢・性別の子どもの生活世界に着目して、(1)日常のさまざまな局面でどのような身体活動をどのようにおこなっているのか;(2)異なる身 体的な振る舞いがどのような社会的・文化的状況に支えられ/制約されているのか;(3)活動の場にどのような対人関係や相互行為が存在しているのか;(4)以上の 三点が子どもの成長とともにどのように変化していくのかを、長期的なフィールド調査によって収集したデータから分析し、身体活動を社会化プロセスとして解明する。 2023年度は、収集した子どもの身体活動量と食事のデータ分析を進めたほか、これまでに収集したデータを用いて学術書と論文の執筆に取り組んだ。その一環として、シリーズ「Palgrave Studies in Anthropology of Childhood and Youth」に、マサイの子ども時代の成長と学びに関する民族誌の単著は2024年度に刊行予定である。また、研究の展開として、ウガンダのKyambogo Universityの研究者との学術的交流を実現し、同様の研究手法を用いて、ウガンダの多地域における子どもの発達と発育に関する研究を探っている。さらに、2024年度にケニアで開催予定のThe 8th International Council for Health, Physical Education, Recreation, Sport, and Dance (ICHPER-SD)にキーノートスピーカーとして招待され、本研究の研究成果を報告予定である。
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