研究課題/領域番号 |
21J20353
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
矢倉 大夢 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 生産性支援 / 機械学習 / ヒューマンコンピュータインタラクション |
研究実績の概要 |
本研究では機械学習モデルを、一般のユーザがより直観的にかつ創造的に使えるようになることを目指し、新たなシステムの開発やフレームワークの提示を行ってきた。特に本年度は、前年度までに得られた結果を元にして、ユーザが様々なコンテンツ生成技術や探索技術を活用できるよう、その応用範囲を拡大していくことに取り組んだ。具体的には、前年度に主な対象としていた画像ドメインからターゲットを広げ、音楽や言語などの幅広いメディアを対象に研究を行った。例えば、音楽については、ユーザの作業状況に適したBGMの提示を可能とする楽曲推薦システムを提案し、User Modeling and User-Adapted Interactionsに論文が採録された。これは、作業に集中するためには「とても好き」な音楽ではなく「好きでも嫌いでもない」音楽を聞くのが良いと知られている一方で、人間にとって「とても好き」な音楽を挙げるのは容易でも「好きでも嫌いでもない」音楽を挙げるのは難しいのに対し、機械学習モデルにとっては「とても好き」な音楽より「好きでも嫌いでもない」音楽の方が挙げやすいという点に基づいている。他にも、最新の機械翻訳モデル等を組み合わせることによって、言語学習中のユーザを対象に覚えたい単語の例文を日常生活の文脈に沿う形で生成し、Mixed Reality等も活用しながら提示することで学習効果を高めるシステムを提案した。これも、コンテンツ生成技術を新たな形で応用するシナリオを提示するものであり、関連する論文がACM CHI 2022に採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上述の通り、当初掲げていた研究の方向性をベースに、機械学習モデルの応用を拡げる新たな手法を複数開発し、その有効性を確認することができた。また、その主要な成果についての論文が複数の雑誌に論文が採録されているほか、ヒューマンコンピュータインタラクション分野のトップ国際会議ACM CHI 2022にも採択されている。以上を踏まえ、当初の計画以上に研究を進められていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに得られた結果を元にして、引き続きユーザが直感的かつ解釈可能な形で深層学習モデルを活用できるような応用技術の開発に取り組む。これには、急速に広がりつつある大規模言語モデル・生成モデルなども含まれ、そうしたモデルを人間中心的に活用する上での制限や、逆に人間の創造的プロセスに与える効果を議論することで、有効な応用技術の開発につなげる。なお、本研究では当初Generative Adversarial Networks (GANs)を用いた手法の提示を検討していたが、深層学習モデルに関する研究が急速な発展を見せていることを踏まえ、上述のような他のモデルまで研究対象を拡大しながら取り組む予定である。
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