研究課題/領域番号 |
21J20699
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
森本 健斗 筑波大学, 人間総合科学学術院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 生殖隔離 / 精子形成 / 減数分裂 / microRNA / ゲノム編集 / 順遺伝学法 / 胚盤胞補完法 / Mutagenesis |
研究実績の概要 |
半デザイン型順遺伝学法でC1-XmiRsが存在するゲノム領域に二つ以上の欠失変異をランダムに導入したC1-XmiRsをF0世代で解析するため、生殖細胞形成能を欠失したホスト胚とES細胞との凝集胚を作製することで、生殖細胞がES細胞のみに由来するキメラマウスを作出する。これにより、C1-XmiRsが存在するゲノム領域にランダムに変異を誘導したESクローンから発生させたF0キメラマウスで表現型が解析可能である。この生殖細胞胚盤胞補完法の効率を確認するため、受精卵に精子幹細胞への分化・発生に必須の遺伝子を標的としたcrRNAとCas12aタンパク質を電気穿孔法で導入し、その精巣を病理学的に評価することで精子形成不全を示すマウスの出現率を確かめた。その結果、38匹中36匹で完全な精子形成不全が確認された。 C1-XmiRsが存在するゲノム領域にランダムに変異を誘導したESクローンを作製するため、各C1-XmiRを標的とするsgRNAを発現するベクターライブラリーを作製した。これらのsgRNAの切断活性をin vitro系で確認した。マウスES細胞にて、このsgRNA発現カセットを宿主染色体に確実に複数種類導入するための実験条件を最適化させた。ベクターライブラリーの導入効率および導入されたsgRNAの組合せを確認するために、それらを同時導入したES細胞において次世代シーケンス解析を行った。その結果、全種類のsgRNA発現カセットを染色体に導入できることを確認した。続けて、このES細胞にCas9ベクターをトランスフェクションし、C1-XmiRs領域に変異が誘導されているであろう単一ES細胞由来のシングルクローンライブラリーを得た。今後、これらのESクローンから上述の胚盤胞補完法でキメラマウスを作出する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、C1-XmiRs領域に変異が誘導されたESクローンから前述の胚盤胞補完法によりキメラマウスを作出までを想定していたが、現在までにC1-XmiRs領域に変異が誘導されているであろうシングルESクローンライブラリーの作製まで進めたため、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究を推進するために、生殖細胞胚盤胞補完法の評価、C1-XmiRs領域に変異が誘導されているであろうシングルESクローンライブラリーの評価とこれらのESクローンから前述の胚盤胞補完法でキメラマウスの作出を行う。以下に詳細を示す。 生殖細胞胚盤胞補完キメラにてES細胞由来の生殖細胞が示す減数分裂の異常が評価可能かを確認するため、精母細胞に必須なPrdm9を欠失させたES細胞を作製している。Prdm9を欠失したマウスでは精子幹細胞は存在するが精子細胞以降に分化した生殖細胞は出現しない。前述の方法で作出した胚盤胞と精母細胞に必須なPrdm9を欠失させたES細胞とでキメラマウスを作製し、その精巣を病理学的に評価することで、生殖細胞胚盤胞補完キメラにてES細胞由来の生殖細胞が示す減数分裂の異常が評価可能かを確認する予定である。 各ES細胞において導入されるsgRNA発現カセットの種類数やランダム性の偏りを評価するため、シングルESクローンライブラリーにおいて、次世代シークエンス解析を行う。今後、さらにC1-XmiRs領域に変異が誘導されているであろう単一ES細胞由来のシングルESクローンライブラリー作製を行いつつ、順次これらのESクローンから前述の胚盤胞補完法でキメラマウスを作出し、表現型解析は8週齢で行う予定である。
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