非コードゲノム領域はタンパク質の産生を調整することで生命現象を制御する。しかし、その機能領域の位置や長さが不明瞭なため、機能解析はあまり実施されていない。非コードゲノム領域上の機能的に重要な領域を同定するためには、候補機能領域に少しずつ異なる変異を導入した変異体ライブラリーでの比較解析が有効である。そこで、特定の染色体領域に複数のIndel変異やStructural Variantを多種多様な組み合わせで同時的かつランダムに導入する新規手法を開発した。 最終年度までに実施した研究により、多種多様な組み合わせで複数のIndel変異やStructural Variantを導入した87の変異ESクローンから成る変異体ライブラリーを構築した。最終年度で実施した研究成果を以下に示す。 1.誘導した変異の同定:ロングリード多検体次世代シークエンス解析により、変異体ライブラリーから領域欠失や逆位を含むStructural Variantを同定した。本手法により、Structural Variantを導入したことを確認した。 2.変異ESクローンに由来するキメラマウスの作製:私は標的ゲノム領域であるMirc56は精子形成を制御する進化学的に重要なmiRNAクラスター遺伝子座であることを見出し、精子形成能の比較解析により、重要なmiRNAの特定を目指した。そこで構築した変異ESクローンライブラリーを用いてキメラマウスの作製を試みた。しかしながら、生殖細胞がESクローンに由来するキメラが生まれなかったため、精子形成に重要なmiRNAの特定には至らなかった。 以上より、これまでのランダムミュータジェネシス手法では成し得なかった標的ゲノム領域へIndel変異だけでなくStructural Variantをランダムに導入することのできる本手法が非コードゲノム領域の機能解析研究に貢献することが期待される。
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