超高光度X線パルサーとは、太陽光度の100万倍を超える明るさのX線パルスを発する天体である。強力な磁場を有する中性子星周囲の超臨界降着流(エディントン限界降着率を超える降着流)がその正体として有力視されているものの、観測結果を説明可能な理論モデルの構築には至っていない。 本年度は、双極子磁場および四重極子磁場を有する中性子星への超臨界降着流の一般相対論的輻射磁気流体力学シミュレーションを実施した。磁気圏半径(降着円盤の輻射圧と中性子星磁場の磁気圧が釣り合う半径)において双極子磁場が卓越する時、双極子磁場に沿う降着流が形成される。この場合、降着円盤は途切れ、中性子星の磁極付近に柱状の降着流が形成される。一方、磁気圏半径において四重極子磁場が卓越する時、四重極子磁場に沿う降着流が形成される。この時、ガスは主に赤道面から降着する。我々は、中性子星表面において4E+12Gよりも小さい双極子磁場強度と、2E+13Gの四重極子磁場強度を有する中性子星への超臨界降着流が、系内で観測されている超高光度X線パルサーの観測結果を矛盾なく説明可能であることを突き止めた。以上の成果は、系内超高光度X線パルサーが磁化中性子星への超臨界降着によって駆動されるという仮説を支持する結果である。今度、我々の数値シミュレーションモデルと、昨年打ち上げられたX線分光撮像衛星XRISMによる最新の観測結果を比較することで、超臨界降着によって駆動される噴出流の検証等も可能になるだろう。
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