本年度は、前年度に引き続き、ブラックホールの観測イメージの時間変動に関するシミュレーションを行った。前年度で得られていた結果を、イメージの構造の時間変動とイメージの二次元情報に注目しつつさらに解析を進めた。その結果、観測イメージに現れる三日月状の特徴的な構造とイメージの輝度重心を組み合わせることで。ブラックホールスピンを推定できる新たな手法を提案した。また、新たに提案する手法が、スペースVLBI観測によって検証可能であることも示した。このことは、ブラックホールの最も基本的な特徴であり、ブラックホール近傍で様々な高エネルギー現象の駆動源と考えられているブラックホールスピンを精度良く決める可能性を秘めた物理学的・天文学的に重要な提案である。さらに、将来計画されているスペースVLBI計画への観測提言の一つにもなる。本年度は国内外の学会・研究会で計9件の発表を行った。また、国内外の大学で計3件のセミナーを行い、多くの研究者と議論を深めてきた。その結果、本年度に行った研究成果をまとめた論文を間も無くPablications of the Astronomical Society of Japan誌に投稿する予定である。
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