研究課題/領域番号 |
22J11104
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
原田 亮 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | 真核生物 / ミトコンドリア / 葉緑体 / DNA複製 / オルガネラ進化 |
研究実績の概要 |
2022年度は系統的に広範な真核生物に対してDNAポリメラーゼ(DNAP)の探索を行い、新奇DNAPを複数発見した。 アプソモナス類、ブレビアータ類、アメーボゾア、ネブリディアから検出したDNAPをabanPolAと命名した。abanPolAはN末端の配列から核に局在すると予想された。アルベオラータに属する繊毛虫類、渦鞭毛藻類、アピコンプレクサ、クロモポデリッズ類、スクイメディア類から検出したDNAPをalvPolAと命名した。alvPolAは核に局在すると予想された。クリプト藻類から検出したDNAPをcryptoPolAと命名した。cryptoPolAはN末端の配列から葉緑体に局在することが予測された。シゾンにおいて葉緑体に局在することがすでに報告されているDNAPが紅藻類と灰色藻類から検出されることを発見し、このDNAPをrgPolAと命名した。Euglena gracilisにおいて葉緑体に局在しているDNAPがユーグレナ藻類から検出された。このDNAPをeugPolAと命名した。 2022年度の探索によって真核生物におけるミトコンドリア局在DNAPの多様性と分布が明らかとなった。また、DNAPの分布と真核生物の系統関係を考慮することで真核生物の共通祖先におけるミトコンドリア局在DNAPのレパートリーを推測することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
系統的に広範な真核生物に対するDNAPの探索によって複数の新奇DNAPを発見した。また、既知のDNAPについても真核生物における分布を更新することができた。 第91回寄生虫学会、第6回共生生物学学会、において発表者として参加し、研究内容を報告した。また、ユーグレナ国際会議にも発表者として参加し、研究報告と情報交換を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度には多様な真核生物に対して新奇DNAPの探索を行った。今年度はその結果発見された複数の新奇DNAPについて詳細な系統解析を行い、起源を明らかにする。また、この中の1タイプの新奇DNAPは葉緑体へ局在することが予測された。このタイプのDNAPについて葉緑体局在シグナルと緑色蛍光タンパク質の融合タンパク質を珪藻内に発現させる細胞学的実験によって、細胞内局在を明らかにする。 今年度の研究成果は、日本共生生物学会第7回大会(11月)などで発表し、本研究についての議論を深める。また、ECOP2023(7月/オーストリア)、国際ユーグレナ学会(7月/チェコ共和国)へも発表者として参加し、海外共同研究者との議論や関連分野の知見を深める。 最後に、一連の成果を英文論文としてまとめ、査読付き英文学術誌に投稿する。
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