昨年度は昨今のコロナ感染の影響により施設内でクラスターの発生および厳重な人の移動の制限が行われたこと、また自身もコロナに感染したことも相まって当初の計画通りに進めることができなかった。したがって、当初予定していた計画に遅れが生じたため、採択中の研究内容をより具現化できるように、本研究の意義を深く探求することに専念した。 まず、収集できているデータ(実習生と利用者、日本人職員と利用者それぞれの自然会話)の意義を明確にするため、当初計画にはなかった実習生指導員へのインタビュー調査の分析を優先させた。これは昨年度、データ内容を整理し学会にて発表している。本年度は、そこでの発表等で得られたコメントを基に論文としてまとめる作業に着手した。本年度中の採択には至らなかったため、現在はそこで得られた新たなコメントも含め丁寧な修正を行っており2024年度中に再投稿する予定である。インタビューの内容は指導員からみた実習生の仕事や日本語学習(習得の状況等)についてである。分析の結果については今後投稿予定の学術論文等で詳述するが、実習年数の長い実習生にも口頭によるコミュニケーションの向上が求め続けられているものの、実習生に対する全人的な高評価が印象的であったことが挙げられる。ただし、利用者と実習生間のやりとりでは指導員の観察・指導といったものがあまり積極的に行われていないということが示唆され、実際に利用者と実習生がどのようなやりとりをしているのかまで把握していない可能性があげられた。このような結果から、実習生が現場で習得していく日本語について本研究で明らかにしていくことの重要性を明確にすることができた。 上記インタビュー結果が本研究を遂行する上で重要であることの裏付けとなることを想定し、現在は既に収集している日本人職員と利用者間の自然会話の分析を再開し2024年度中に学術論文として投稿する。
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