研究課題/領域番号 |
22J13991
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
霜田 晃希 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | スマート農業 / スマートセンシング / 農業情報工学 / 機械学習 / 呼吸器感染症 |
研究実績の概要 |
本研究では,複数センサを併用するスマートセンシングにより豚多頭飼養環境における全頭個別トラッキング法を確立するとともに,トラッキング結果より得られた豚の行動情報から豚の肥育状態・健康状態モニタリングシステムを構築することを目的とする. 2022年度は,これまで農場で計測してきたマルチモーダル動画像データを対象に,機械学習手法であるCNNを用いて昼夜を問わない全頭個別トラッキング手法を開発した.またトラッキング結果から豚の行動様態を定量的に明らかにする方法を検討した.今後は多量の動画像データをもって豚の行動様態を分析し,豚行動データベースとして整備する方針である. 加えて健康状態モニタリングに必要な,呼吸器感染症に罹患した豚の行動データを得るため,呼吸器感染症の一例としてブタインフルエンザ感染実験をBSL-3対応の実験室において実施した.実験に際しては農場で実際にモニタリングシステムを長期運用することを念頭に置いた.豚舎という電子機器にとって過酷な環境においても,2週間~1か月程度の長期間連続稼働させても問題なくデータ収録を実施でき,かつ膨大なデータを遅滞なく記録できる収録系を構築し,その有用性を確認した.今後はさらなる長期収録を試験するとともに,これまでの感染実験で使用していなかったブタインフルエンザ株や異なるウイルス性感染症に罹患した場合のデータを収録し,ウイルス株や感染症による症状の差異について検討する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は昼夜を問わない豚全頭個別トラッキング手法を開発し,豚の行動様態を定量的に明らかにする方法を検討した.またBSL-3対応の実験室においてブタインフルエンザ感染実験を実施した.以上をもって「おおむね順調に進展している」としたいところであるが,高病原性鳥インフルエンザの全国的な流行の影響により豚を用いた実験を想定回数実施できず,データの不足が生じている.
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今後の研究の推進方策 |
一般農場におけるデータ収録実験とBSL-3対応の実験室におけるウイルス感染実験を継続して実施し,感染症罹患個体を含めた豚行動データの拡充をはかる.この豚行動データと豚の肥育状態,健康状態との非線形関係を明らかにすることで豚全頭個別モニタリングの達成を試みる.加えて豚舎で収録したデータをリアルタイム解析し,異常があればすぐに発報できるシステムを構築し,農作業者による豚の異常見逃し防止に挑む.
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