現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、内視鏡手術後の欠損部を被覆可能なマイクロ粒子ベースの創傷皮膚材の開発に向け、組織接着性マイクロ粒子の粒子径が粒子の噴霧挙動およびコロイドゲルの弾性率、組織接着性、水中安定性に与える効果を検討した。申請書の計画通り、粒子の作製条件を検討することで粒子径の異なる4種類の疎水化タラゼラチン粒子(0.1~100 um)を作成することができた。さらに粒子を水和することで得られるコロイドゲルの弾性率・組織接着性、粒子噴霧後の穿孔閉鎖能、水中安定性を評価することで、粒子径の低下とともにそれぞれのコロイドゲル機能が向上することを示した。さらに粒子のスプレー噴霧挙動を微粒子可視化システムを用いて観察することで1 um以上の粒子の噴霧性能が良好であることを明らかにした。以上の粒子の組織接着性および噴霧性能から1 umの疎水化タラゼラチン粒子が最適であることを示した。また、以上の研究内容を記した英語論文は化学雑誌にアクセプトされている(S. Ito et al., Acta Biomater., 2023, 159, 83-94.)。従って、本研究は当初の申請書の研究計画通りにおおむね順調に進展していると判断している。
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